第3話 妖刀朱天

 朱天の祠。大妖怪酒呑童子が封印されている妖刀朱天が祀られている祠だ。

 この祠には大変強い結界が張ってあり並みの者では近づくことさえできない。そんな場所に俺、煉城暁はいた。

「さて祠に来たのはいいけどどうやって侵入するか……」


 ーーおい、こっちだーー


 そんな声が聞こえた。

「ふむ、こっちか?」

 俺は声に従い歩いて行くとそこには結界の綻びがあった。

「ここか?」


 ーーああ、そうだーー


「それじゃお邪魔しますと」

 俺は結界の綻びから祠に侵入した。

「そして真っ直ぐ歩くと石造りの祠がありその中央に一振りの刀があった」

 その刀は柄も鍔も鞘も全てが朱色だった。

(間違いないこれが妖刀朱天)

 原作では主人公である神崎零雄が使用した刀だ。最も主人公が手に入れるのは終盤からだけど。


 ーーさあ、俺を手に取れーー


「まあ何とかなるだろう」

 俺が刀を手に取った瞬間視界が真っ白に染まった。

「う、う~こ、ここは……」

 俺は燃え盛る大地に立っていた。

「精神世界か?」

「その通り」

 そう声が聞こえ振り返ると鬼がいた。

「お前が酒呑童子か?」

「おう。俺様こそが最強の鬼である酒呑童子だ」

 燃えるような赤い髪に瞳、漆黒の日本の角。整った顔立ち、少し鋭い犬歯、服越しからでも分かる筋骨隆々の鋼の如き肉体、身長は二メートルはあろう巨体に俺は見惚れた。

「おお~格好いい……!」

「か~かっかっかーそうだろう」

 俺がそう言うと酒呑童子は気分を良くしたのかカラカラと笑った。

「それでお前は俺様を求めてここに来たそうだろう?」

「ああ、お前が欲しい」

「何故俺様が欲しい?」

「強くなるために」

「何のために?」

「死にたくないからと大切な者を守りたいから」

「ふむ、死にたくないとは?」

「俺は陰陽師だ」

「ああ、そうだろうな」

「強大な妖怪と戦うこともあるだろう」

「ああ」

「だが今の俺では間違いない死ぬだろう」

「では、大切な者とは?」

「これからできるであろう仲間や友そして愛する人」

「では、何故俺様を選ぶ?」

「どういうことだ?」

 俺はそう鬼に聞き返した。

「俺様以外にも妖刀は存在する」

「ああ、知っている」

「俺様でなくともいいはずだ」

「いいや、それは違う」

 俺はそう首を振った。

「ほう、何故だ?」

「正確に言うならお前も欲しいだ」

「俺様も?」

「ああ」

「だがお前は妖怪刀を持っていない」

「ああ、お前が一本目だ」

「その心は?」

「俺は鬼の妖刀三本欲しい」

「何故?」

「だって鬼って強いし何より……」

「何より?」

「格好いいだろ?」

 俺が笑みを浮かべ鬼にそう言うと……

「か~かっかっか~!なるほど確かにそれは格好良さそうだな!」

「それで俺と一緒に天下を取るか否か選べ酒呑童子!」

 俺がそう問いかけると鬼は面白そうな顔をして言った。

「俺様に選べとは恐れいった。いいだろう!これより俺様がお前の力となってやろう!」

「俺の名は煉城暁いずれ最強の陰陽師になる男だ」

 俺はそう名乗り拳を突き出す。

「おう!我が名は酒呑童子これよりは暁!お前とともに覇道を歩むと誓おう!」

 そう酒呑童子いや朱天は名乗りを上げ俺の拳に自分の拳合わせた。

「よろしくな相棒!」

 俺がそう呼ぶと嬉しそうに笑った。

「ああ、よろしくな相棒!」

 こうして俺たちは誓いを立て覇道を歩み始めた。



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