第3話 不審死


男は身体中から血を流して倒れていた。


それはまるで無数の針で貫かれたような遺体であり熟練の検死官をもってしても死因の特定を諦めざる負えなかった。


臨場した刑事はしきりに首を傾げながら不審死という枠を超えた遺体を覗き込んだ。


「ここが現場で間違いないんだよな?」


「はい、間違いありません。移動された形跡はありませんし。密室でした」


「で?凶器になりそうなものもなしか」


「……はい。無数の針なんて、何処にもありません」


「だよな……それにしても」


「なんです?」


「この部屋埃っぽいな……」


東側の小窓から入る強烈な朝日が光線のように入り込み舞っているホコリをキラキラと光らせていた。

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