真名探し
一時間ぐらい話して分かったことは桜乃は昔の幽霊という事だ。ならば昔っぽい名前を思いつく限り言ってみよう。
「葵とか。どうそれっぽくない。」
桜乃はしっくりこないらしく首を横に傾げている。
「何ですかね。違うような気がします。」
そういえば桜の周りにいたからやっぱりそれ関連かな。
「桜。じゃないよね。」
もしそうだったら忘れていないだろう。
「そうですねそれだったら苦労はしないんですよね。」
昔の人の名前なんて知らないのに色々と出してみる。そうして数分の格闘の末一つだけ分かったことがあった。
「分からない。」
「気長に探しましょう。時間は腐るほどあるので。でも頂いた仮名結構気に入ってます。」
桜乃はそう言って笑った。…散歩をすれば何か思い出すかも知れない。父さん曰く百年前に幽霊になったと言っている。
「とりあえず今から散歩いこ。桜乃。」
「あはい。」
途中で母さんに捕まってしまったが何とか言って誤魔化した。
「夕方だからあんま遠くには行けないけど手がかりあったらいいなって。」
無言になって桜乃は考え込んでいた。しかし花は興味があるらしく私に聞いてくる。知らない花もあったのであとで調べないと。やっぱり花の名前ではないのだろう。
そんな事をしているうちに私は桜乃の背を抜いて大人になっていた。仕事も桜乃が思い出せるように植物関連の仕事について職場にも桜乃はいた。しかし十五年経った今でも桜乃は手がかりさえ掴めない状態だった。
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