花の名前

土には桜乃と書かれていた。桜乃は私より大人で背が高く姉みたいだった。

「さてと…名前思い出さないと。」

「ねえ。歩こうよ。綺麗だよここら辺。」

私は手を掴もうとするが半透明な手は避けていった。これが幽霊なんだと実感した。

「そうですね。」

「どうした。さっきから独り言多いぞ。美桜。」

「あのね。桜乃といたの。話してたんだよ。…見えないよね。…何でもない。」

私は思い出した桜乃は死んでしまった幽霊だから皆んなには見えないんだよね。

「ぼんやりとしか感じないがそこにいるのは分かるな。美桜をよろしくな。」

方向からするに感じ取れていることが分かる。…もしかすると言葉も分かるのかな。

「よろしくです。」

「礼儀正しいじゃないか。」

やっぱり言葉は通じるらしい。桜乃と歩いて分かった事は桜乃は桜と花が好きということだ。分からない花はすぐに聞いてくる。…私に聞かれても分からないので私は父さんに聞く。

「あ、それはネモフィラだな。青が綺麗だろう。」

「だってさ桜乃。」

私は小声で言った。普通にいうと母さんが心配してくるのと少しだけ周りが気にしてしまうから。そんな中で桜乃は私の声が小さいから腰を下ろして聞いてくれていた。疲れないかなと心配だった。

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