仮名
「桜乃本当に周りの人には見えてないの」
当然の事を聞かれた。しかし幼いのでどうやって説明をするか。少しだけ迷って。
「多分私は死んでしまったのでこうなっています。勿論死んだら見えないのですが。たまに美桜さんみたく見えている人がいるんですよ。」
不思議そうに頭を傾げた。分かってくれたかな。
「難しい事分からないや。桜乃何で本当の名を知りたいの。」
無邪気にそんな事を聞かれた。…成仏をしたいからだけど通じるかな。
「成仏をしたいからです。」
「成仏って何。何なの。」
「幽霊が消えることです。」
ここ数百年真名を思い出そうと必死になって考えていたが全く思い出せないのでここにいた。
美桜さんは土に何かを書いていた。美しい桜で美桜というのか。
「綺麗な名前ですね。」
そういうと嬉しがっていた。
「さくののさくは桜で一緒。でのはどうしよう。」
迷っていたから漢字を教えた。昔の知識じゃない事を祈った。
「書けない書いて。」
どうやら自分の漢字しか書けない年らしい。
「いいですけど。持っているのを隠してください。怪奇現象とか言われたくないので。」
そうしてそこら辺の落ちている木の棒で書いた。勝手に木の棒が動くと色々とめんどくさくなるので書いてるふりをしていた。
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