部活動なんて適当なんだから!

私が入った部活は結局、睡眠部になった。入部届は…どこに出すんだろう。とりあえず部室に行ってみるしかないかな。突然顧問の先生のとこに行くのも怖いし。


「姫野ちゃん、入部してくれるかな」「さあ?」「さあ?ってそんな適当言わないでよ。今年は他に部活動見学きてくれた人いないんだよ?部活私達の代でなくなっちゃうかも知れないんだよ。」この間見た時とは違ってしっかりとしているというよりは可愛いみたいな言葉が似合う先輩を見てしまった。

…このタイミングで入ってもいいかな?ここで入ったら先輩が恥ずかしい気がする。

「あ、姫野ちゃん~。また私に会いに来てくれたの?」!バレてた。このタイミングで入るしかなくなった。「こ、こんにちは」出来るだけ自然にしながら部室に入る。

「こんにちは。この部に入部してくれる気になった?」さっきまでの可愛い先輩はどこかへ行ってしまった。そしてここにいるのはカッコイイ先輩。

「はい。色々見て回ったんですけど私にはここが一番合ってるなって思いました。」「ありがとー。じゃあ姫野ちゃんの研究スペースを作らないとだね。」「あ!綴、それ私が言いたかったのに。勝手に話を進めないでよ」「部長がトロトロしてるからじゃん。」「あ?お前がせっかちなだけだろ」また言い合いが始まってしまった。ただこの言い合いは本当に罵倒したいというよりは信頼の裏返しみたいな罵倒。

「あの!入部届って何処に出すんですか?」ヒートアップしてくる前に水をかける。「あ!そうだ。ごめんね。綴がかまちょするから忘れてた。」「は?私の所為ではないだろ。」「でこれは真ん中で切って上を私を通じてこの部活の顧問の先生に。残り半分をt」「担任の先生に」さっきの地味に無視された当てつけのように一番最後の言葉だけを盗っていく。

「ちょっと一番最後だけかぶせるの辞めて」「それを言うなら無視はしないで」「分かった無視はしないから言葉の最期をかぶせないで」「OK~。交渉成立」…こんな関係うらやましいな~。私もいつか先輩たちと…ぐぅんなんでもないもん。

「じゃあ早速だけど何の議題研究したいとかある?」「研究したい議題。…思いつかないです」「だよね。そこでなにがしたいです、なんて言われても私たちが困惑しちゃうもん。じゃあ、しばらくは私か綴の研究を一緒にする感じでいい?」「分かりました。」「じゃあこれから一年間ぐらいだけどよろしくねー」「あ、先に挨拶した。ズルい。」「は?」「は?じゃないよ」…また始まった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る