三条先生の日常

「私のところには今日8人、来ましたよ」「はっはっ私のところには10人も来てくれましたよ」今の職員室はそんな自慢話にあふれかえっている。絶対生徒の総数より自慢されてる人数の方が多い気がしないでもないけどわざわざ数える酔狂な人間もこの学校にはいない。

かくいう私も数学の教師を名乗りながらも統計なんて絶対にしたくない。めんどくさすぎる。「三条先生、授業はいいんですか?」「大丈夫ですよ。この時間は授業がないですから」「いえ、2コマ先の授業を見据えて動かないと三条先生はきつくないですか?」このあおりにも聞こえる台詞を言ってくれるのは私の隣のクラス担当、中津川先生。「そうですよ。事前行動は大事です」クマが深すぎる先生、下岩先生。私より体力がない唯一の先生にして私達の学年の生徒指導担当だったりする先生。「先生こそいいんですか?音楽室に引きこもったなっくて」「私は頑張れば音楽室にはたどり着きますから。」上司だから言えないけど一つ下のフロアなんだからいけて当然だろ、と心の中で毒づく。「二人ともこれから時間ありますか?少し話し相手に「すいません。今から授業の準備を始めなくては間に合わなくて…また今度誘って下さい」逃げたな。なにを隠そうこの先生の雑談は絶望的につまらないのである。「先生、私もそろそろ教室に行く準備をしなくてはいけないのでこれで。」


あの後すぐに職員室を後にして次の授業の1年3組に向かう。さっき話していた中津川先生が担当するクラス。このクラスには問題児が揃っているって聞いていたけどいうほどじゃない。話も大人しく聞いてられるし、特に奇行という奇行がないクラス。それはこの学校においてなかなかのステータス。こんな話は置いておいて階段のせいで切れた息を整えてから教室に入る。

「おはようございます!」一人の声で全体の挨拶が聞こえない。まあ口が動いてるのは見えるからまあどうにかなるか。


チャイムがなって挨拶をしてからチョークを片して職員室に帰ろうにも体力が持たないのでそのまま次の教室に行く。

はぁ~次、この学校のラスボス級のところじゃん…。


「だー疲れたー。」足を投げて机に突っ伏す。ようやく放課後になった。私は部活の顧問を持たずに副顧問だけだから意外と楽だったりする。だからこっからは提出されたものの〇付けしてでもすごすかー。

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