部活動体験 二日目
今私は物凄く歩きにくい。それは今日は人が多いからではない。謙太がしがみついてきて離れないからが正解。私の体にしがみついてきて謙太のダメージがないサラサラのストレートの髪が頬当たってくすぐったい。
「謙太、ちょっとは落ち着いた?」「…………」無言&涙目でこっちを見ないでよ。
「人だかりを抜けるまであと少しだからもうちょっと頑張って。」ちなみにこれは噓でも本当でもない。直線距離にしたらたいしたことなくて後30mもない距離だけど今は人がいすぎて全然進まないからここから後二分ぐらいかかる。距離は後少しでもかかる時間は全然あと少しじゃない。更に言えばここから部活動勧誘の人が多くなってるみたいだから話しかけられるかもしれない。
結局話しかけられた回数は一回だった。その一回で謙太が泣き出したからもう勧誘とかができなったらしい。それでも周りでは勧誘を続ける猛者もいたみたいだけど。
「謙太教室に着いたよ。」「頭、撫でて」私の言葉に被せるぐらいの速さで頭を押し付けられる。「よく頑張ったね」言い聞かせるようにゆっくり言う。ただ謙太からすれば何を言われても興味がないらしくさっきまでと変わらず頭を私の胸に押し付けてる。恥ずかしいけど顔を赤くしたらなんか私が謙太とそういう事したいって考えてるのがばれるから顔は変えないでサラサラでなんかいい匂いがする謙太の頭を撫でる。
撫で方やなでる場所によって謙太の反応が違うのが面白くて夢中になって撫でてたら先生が来てしまったので仕方なく中断する。
私と健太の席は隣同士だから一緒に授業を受けられる。「礎、休み時間にまた頭撫でて。」「いいよ。今日の登校頑張ってたもんね。」朝のSHRの時にこんな会話も出来ちゃう。隣同士ってすばらしい。
先生の話を聞き流しつつどんな感じに撫でたら喜ぶかな。本物の猫みたいにあごの下を手の甲の骨で撫でる…髪を梳くように手櫛をしながら撫でる…敢えて雑に髪の先端をつむじに向けるようにぐしゃぐしゃ撫でてみる。どれも楽しそうだ。
「なんか今日のホームルーム早く終わった気分。」「分かる。私も今日のホームルーム早く終わった。」「ね。」手櫛を入れながら頭を撫でる。
結局自問自答の結果これになった。
「礎。もっと乱暴でも礎なら大丈夫だよ。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます