御伽症・猿蟹合戦
私は大森姫野。御伽症患者だ。
能力は
題名[猿蟹合戦]
能力[恨みを痛みとして返す・相手の痛みを和らげる能力]
副作用[相手に与えた・軽減した痛みの1.5倍が帰ってくる]
というもの。この能力のせいで友達が出来なかった。中学では怒らせただけで骨を折られるとか言われたせいで誰も話しかけてこなかった。そもそも私が与えるのは幻痛だし、骨が折れたと感じさせるほどの痛みなんて副作用で私が持たないのに。だから高校は人との関わりが少なそうなところにした。
能力検知専門学校。ここは専門学校と謳う割には四年制大学への進学実績がある。
こんな私でも面接に受かってこの高校に入れたんだからほかのやつもこんな感じだと思う。問題は任意とはいえ寮があること。偏見かもしれないけど寮ってコミュニケーション能力高いやつ多そう。
適当に考え事歩き回ってると不良に絡まれてる美少女みたいな構図があった。今時あんなんあるんだなーとボーと見ていたらなかなかうなずかないその人にいらだった様子で無理矢理腕をつかみそうになった。我慢ができずに猿蟹合戦の能力を使い不良に痛みを与える。私が御伽症を発症したのが六歳の時。初めて発見された時の少し後ぐらい。その後からずっと怒りやその他感情を恨みに変えたり逆に恨みを他の感情にする練習をし続けてきたからもう大体コントロールできる。副作用は別として。
あの不良達にはみぞおちを突然殴られた時ぐらいの痛みを与えた。私としてはビンタぐらいの痛みを予想してたのに…副作用がくるまで二秒ぐらいのラグがあるから道の端に移動する。痛みを与えすぎた。私が耐えられる副作用の大きさは腕を殴った時ぐらいの大きさなのにそれを大幅に超えた。だから気絶する。
痛みが来た。痛すぎて体の感覚がなくなっていく。目の前が霞んでいく。
起きると知らない天井を見上げてた。正確にはベットの上に寝かされてた。周りは部屋というか森。時計とかの生活必需品すら見つからないほど草だらけ。家具は私が今座っているベットぐらい。だからか人口物のドアがやたら目立つ。
倒れたことは確実だから誘拐か?この部屋どうなってる?なんにせよ。警戒しておこう。幸い拘束はされてないから猿蟹合戦で隙を作って逃げよう。
ドアが開いた。そこにはさっき不良に絡まれてた人がいた。「起きた?」声に凹凸がない声で聞かれたら。
顔立ちは整ってる。ただ目が眠たげで辛そうな上、病的なまでに痩せてて不健康な印象を受ける。
「起きました。貴方が運んでくれたんですか?ありがとうございます。ですがそろそろ帰りたいので。」ここまでを一息で言うことで対応する暇を与えない。
「私は能力検知専門学校に通ってるから暇な時に会いに来て。ここの寮母さんに羽尾って言う名前を伝えれば入れてもらえるから」
同じ学校だった。こんなことになるんだったら助けなければよかった。若干後悔しつつ今後起こりそうなことに思いを馳せ絶望していた。
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