童話日常物語

牛寺光

第一学期 

第一章 集え能力検知学科

御伽症・腰折れ雀

岐阜に伝わる昔話の一つに腰折れ雀というものがある。

内容を分かりやすく言うとおばあさんに助けられた雀がおばあさんにプレゼントを送り幸せにする、というもの。これが僕の解釈。


今から十年前に「御伽症」という病気が流行った。これは多くの人が、老若男女問わずおとぎ話の夢を見ることから始まった。そしてその人の御伽噺や神話、童話の解釈や印象に残った場面に依存した能力が発現した。例えば日本人のほとんどが知っている御伽噺「浦島太郎」この物語の御伽症を発症した人は「玉手箱を作り出す能力」や「水中で空気の膜を作る能力」など様々。

この病気はまだ何もわかってない。この病気の原因、治し方、潜伏期間。

ただ発症しても特に問題がないとされてるし政府も問題視していない。制限が多いから。細かいことは人によるけど多いのはカロリーを尋常じゃない量を持ってかれたりする。これは通称「副作用」と呼ばれている。強い人は一回使っただけで動けなくなっちゃう人など。だから多くの人は能力を使わない。だから人生に関係ない人が大半。強いて言えば政府に報告する義務が発生するから一応登録が必要なことぐらい。


ここで僕の話をしよう。僕は馬瀬正乃。そして御伽症患者。それも言い方を考えなかったら知名度が低いやつ。政府に報告するときも名前がわかんなくて困るぐらいに。政府に報告した時に係の人に教えてもらった。

題名[腰折れ雀]

能力[人を幸せにする能力]

この能力に誇りはあるけど地味なのがたまに傷。報告の時も信じてくれなくて大変だった。そして今日から高校生。通う高校・学科は能力検知専門高校・能力研究学科。十年前にできた学校で名前の通り御伽症による能力を研究する学校・学科。何故この学科にしたかというと僕の副作用とこの学校の特色に関係がある。まず僕の能力の副作用は[人を幸せにした分不幸が自分に回ってくる]というもの。これのせいで僕がどれだけ苦労したか。

そしてこの学校は人間性のテストだけが入学試験で応募がかなり遅くまでやっている。

この二つがどう関係してくるかというとまず本命の高校入試の数日前に起こったことが原因になった。


下校中、小学生ぐらいの子が車通りの多い道に飛び出した。それを助けようとして能力を使ったら早速副作用が働いて暴走した車が突っ込んできて手が折れた。

あの状況で手だけ出るんだのは幸運だと思うけどさ全治二ヶ月。つまりペーパーテストが受けられない。今から面接だけの高校にしようにもほとんどの高校が募集が終わってる。

条件に合うのがこの学校だけだった。

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