第4話 ここで、初対面した時のハナシ
―話は、わたしが名前を決めたところに戻る。
「おい。大丈夫か?自分の名前は言えるか?」
意識が朦朧としかけている男に、わたしは声をかけ続けていた。
「…ネイス。ネイス・ロドウォーリ」
男は、絞り出すような声で名乗った。
「そうか。よろしくネイス。君一人か?何があった?」
「ぞ、族に襲われた…。マンガス団だ」
それが族の名前か。
「…気を付けろ。まだ近くにいるかもしれない」
どうやら、命からがら逃げおおせた状況のようだ。
その手の者の相手は慣れ親しんではいるが、前の世界のようにいくかは分からない。それに、彼にはあまり時間が残ってなさそうだ。
「なら、早くここから移動した方がいいな。この近くに街はあるか?それか人が通るような道は?」
それを聞いて、ネイスは左手を上げ、わたしの背後の森を指した。
「この先に街道がある。西の方角に向かえば、俺が住む村が…」
「分かった。…ちなみに、西とは太陽が沈む方か?」
「へっ、当然だろ…」
冗談だと思ったのか、ネイスは鼻で笑った後、気を失ってしまった。
急ごう。
わたしはネイスを担ぎ上げ、示された森の中を突き進んだ。
ネイスは今のわたしと同年代ぐらいで体型もかなり立派だ。
そんな男を担ぎ上げたまま歩みを進める自分に、わたしは改めて驚きと喜びを感じていた。
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