第十五話 誘発と暴発 4
「……ん、んん……」
と、先程まで一切反応の無かったスライムから声が漏れた。一匹はすぐさまスライムを覗き込む。
「…………あれ? 生き、てる?」
一匹同様スライムもおかしなことを口走る。赤いスライムは小首を傾げると細かいことは気にするなと言わんばかりに息を吐く。
「やはりおぬしもわしと同じ光景を見ていたのじゃな?」
一匹はさっき赤いスライムから訊いたことをそのままスライムに話した。スライムは唸るように呟くと状況を確認する。
「……分かった。とりあえずどうする?」
「あ、あの……ぜひわたしたちの里に来ませんか」
今まで黙っていたシルフィがここぞとばかりに口を開いた。
「里?」
「はい……お礼をしたいんです」
「おまえの里って確か、ここからかなり離れてなかったか?」
すると、なぜか勝ち誇ったような顔で持った振りながら口を開く。
「わたしね、樹木移動出来るようになったんだよ」
赤いスライムは思わず驚き「まじか」と言葉を漏らした。
樹木移動のスキルはある程度のレベルが必要で、かつ教えて貰わなければ覚えれないスキルなのだ。そのためシルフィはすごくがんばった。それこそ、普通の精霊は百年以上掛けて覚えるためレベル上げにも生半可な時間じゃ無理なのだ。それをシルフィは百年満たない時間でやってのけたのだ。
(樹木移動ってすごいものなのじゃな……あやつはしょっちゅう使っておったからに)
そういえばと一匹は振り返りスライムを見た。が、スライムのどこか怪訝そうな顔に何を訊こうとしていたのか忘れてしまった。
「おぬし、どうかしたのかの?」
「……ん、あ。いやなんでもないよ」
少し間があったのが気になるが何か考え事でもしていたのだろう。そう結論づけて一匹はシルフィに尋ねた。
「ここからその里にはどのくらい掛かるのじゃ?」
「そうだね……でもワープするだけだから一分くらいだよ」
一匹は感心したように口を開ける。
「ほぉ。すごいの」
「あ、持っていくモノとかねぇよな? 人間じゃあるまいし」
「そうじゃの」
「うん。ないよ」
一匹とスライムが返事をすると赤いスライムはシルフィに声を掛ける。
「じゃあ頼むわ」
シルフィが返事をすると、近くの大きな木に手を触れスキルを発動させた。
☆☆☆☆☆
あとがきです
ストックがとうとう無くなったのでしばらく投稿ができないかもです。続きが書け次第投稿再開します
_(._.)_
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