第十一話 過去の話 3
二匹ともそれに驚いたわけでも心配したわけでもないのだが思いのほか、斜め上の解答すぎてなんと返して良いのか分からず目を点にさせた。
ある程度飲み終わると小川から上がり近くの小石に腰を下ろした(スライムに腰無いけど)
「そうだな~、なにから話せばいいんだ?」
普通に会話の続きをしようとするので立ちっぱなしもなんなので一匹とスライムも近くの石の上に腰を下ろした(立ってるとか座ってるとかの見分けがつきにくいが)
「その目の……いや、君が覚えてる最初の記憶から話せる?」
「最初か~、まあ信じるかどうかはお前ら次第だがそれでもいいなら話すぞ」
スライムは頷き、一匹も過去のことは少し興味があったのでこくりと頷いた。赤いスライムは「最初の記憶は確か――」と話し始めた。
――まず俺はこの世界の、というかそもそも魔物じゃなかった。有り体に言えば転生者と言う奴だな、こことは違う世界で普通の人間だった。まあ、いろいろあってこっちの世界に来たがそれからというもの……酷い扱い受けるわ人体実験させられるわで、1回は死にかけてな~……あの時死ねてれば楽だったかも知れないが。こっちに来たばかりの頃はそんなことはなかったんだがな、優しく接してくれてたしちょっとはこっちの暮らしも良いかもとか思ってたんだがな~。まあ、人体実験を繰り返し受けたこの身体はいろいろな魔術を受けて人間の形ではいられなくなった。まず皮膚が溶けたな。それから髪が抜けて歯も全部取れた。肉体が全部溶け落ちて地面にぺしゃり、骨だけがカランカランって地面に散らばった。溶けた俺は容器に詰められ魔法陣の上に置かれた。何をしたかは分からないが……気が付いたらこの身体になってた。最初は俺も驚いたよ、だってスライムだぜ? 普通人間からスライムとかあり得ないだろ……まあなっちまったもんは仕方がねぇが。この姿にされてからも実験は終わらなかった。まずこの左目に魔石を入れられた、それも魔力がすごいんだ。さっきの暴走見てたら分かるがそれなりの威力は出るし、短期戦には充分向いてる量の魔力だ。それからは研究員に他の街に連れて行かれて街を破壊させられた。都市の八割が壊滅状態、まあそんなにされて黙ってるような連中でもなかったみたいで増援が来て研究員に連れられて逃げた。貴重な戦力だし手放したくはなかったんだろうな。それからしばらくしたときに研究所が破壊した。というか俺が壊した、魔力暴走でな。逃げて逃げて、逃げた先で何年か過ごしてたが討伐隊らしき奴らに住み家を追われ走れなくなって倒れてたところ奴隷商に拾われた。
「――で、まあ今に至るって訳だ。カルデノ山が噴火したのが確か研究所を破壊した辺りだな」
ここまで一気に話し終えると再び水を飲みに小川に入った。
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