第十話 同類確保? 5
スライムは詠唱を終えると向かってくる騎士に突っ込んだ。騎士は目を見開くがそれも一瞬のことで、嘴を釣りあげると不敵に嗤い剣を振り下ろした。
「なっ?!」
剣先は空を切りそのまま地面に突き刺さった。スライムはというと目にもとまらぬ速さで移動し騎士の頭上に飛び上がっていた。騎士はいつの間にかいなくなったスライムを探し剣を構えたまま辺りを見渡している。顔に影が落ち上を向く。スライムはこのタイミングを待っていたかのように落下すると、顔に付着した。そして
「捕食。――エクストラスキル――
「が、がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ‼」
騎士は必死で顔に張り付いたスライムを取ろうとするも、スライムの粘液でまともに呼吸することができず、そのうえスキル捕食で少しずつだが皮膚を溶かされている。とてつもない苦痛に痛みを強いられなまじ力が思うように入らない。剣で振り払おうとするもスライムの弾力の前には物理ダメージは皆無だった。逆に魔法で攻撃しようにも詠唱することができず、そもそも発動させることができない。
騎士はたかがスライム如きになすすべなく生を無に帰した。
「……
一匹が地面へ一直線にばらまいた水溜まりへスライムは氷弾を放った。水溜まりはものの数秒で結氷となる。そこへタイミングを見計らっていたのか、一匹が赤いスライムを連れ氷の上を滑ってきた。赤いスライムは一匹の三分の一ほどの大きさしかなく持ち運ぶのも容易そうだ。
「さ、逃げようか!」
スライムに促されると一匹は赤いスライムを抱え後を着いていった。
(はぁ~危なかったのじゃ……)
――なんとか一匹は赤いスライムがいる場所までたどり着けたは良いものの、氷壁が意外と半透明であったため向こうに居る司会に見つかってしまった。しかも隷属の力を弱め、一匹に攻撃させようとしていたのだが赤いスライムは先程までのように暴走することはなく意識を失ってしまっていた。
氷壁の向こうで司会がなにか言っているようにも聞こえるが、幸い人族の言葉は多少しか分からない上に厚い壁のせいで口パクしているようにしか見えなかった。一匹はこの隙に赤いスライムを抱えUターンするとスライムが一匹の意図を読み取ってくれていることに気が付いた。
そう、先程放っていた水弾の水溜まりが凍っていたのだ。走った勢いのまま氷の上に乗るとツッーと滑りなんとかスライムの所まで戻ってこられた。と言うわけだ。
一匹は視線を下に落とすと赤いスライムを見た。先程までのような膨大な魔力は見受けられず、ある程度は霧散しているようだ。目覚めるような気配はない。
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