第五話 人族の知り合い 5
「だからの……その、なんじゃ。えと……」
一匹は気恥ずかしさから少し目を逸らしながら次の言葉を考えた。
「――ふ、ふふ……うふふふ」
スライムが突然笑い出した。一匹は訳が分からず思考停止しながら「そ、そんなにおかしかったかの?!」と慌てながら言った。
「ふふふ、ごめん。そういうわけじゃないんだけど……ふぅ。私にそんなこと言ってくれたのが嬉しくて、つい」
一匹は驚いて目を見開いた。数秒後ようやく状況の処理が終わり、一つ息を吐いた。
「まあ、おぬしの過去についていろいろ訊きたいところもあるのじゃが……おぬしが話したくなったときで良いぞ」
今度はスライムが目を丸くして驚いた。一匹はそのまま言葉を繋げた。
「知りたくないといえば嘘になるが……無理して言う必要もないじゃろ?」
「君は……優しいんだね」
スライムはそう言うときらびやかな笑顔で「もうすぐで家だよ? 帰ろう!」と言った。
――その後スライムと一匹は仲良く、時に襲ってくる魔物を倒しながら、逃げながら家まで帰った。
さすがに二回目は失敗せず先に一匹だけを浮遊させ登らせることが出来た。後からスライム自身にも風魔法を応用して家まで登った。
「ふぅ~」
一匹は色々あって疲れ液体状に広がり身体を休めた。同じくスライムも一匹と同じように身体を休めた。
「ここからどうする? 探索は明日にして、ここでゴロゴロする?」
「う~む、それも良いのじゃが……ぬ? これも村のマークではないのかの?」
一匹は寝そべりながら地図を見ていたのだが、少し汚れているようなまるで後から付け足したかのごとく滲んだ標があった。
その標を指差しながらスライムに尋ねた。
「他の村とは描き方が違うけど……なにかあるのかも」
他の村……先程行ってきた村とも標が全く異なるのだ。さっき行った村――村Aは一目見れば村だと判るように家の絵のまわりに柵が並んでいる。そして今見つけた村Bは家の形をしていないというか、家には見えない。むしろ廃墟のような、石が崩れているような絵なのだ。
「なにがあるのかは行ってみれば判る事じゃな」
「ふふ、そうだね。早速行こうか」
一匹とスライムはもう早そこに行ってみることに決め、早速と言わんばかりに立ち上がった(液体状から個体? 状に戻っただけ)
スライムが先導すると一匹はスライムの横に行き並んだ。スライムと一匹は新しい目的地へ向かい歩き出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます