第三話 魔鉱石の力 2
(スライムは……物運びに意外と向いているのかも知れないの)
一匹はスライムという種族の新たな
「わしはどれを運んだら良いのじゃ?」
「君の筋力はいくつ? それによって持てる重さが変わってくるんだけど……」
(筋力……そういえばわしのレベルは、「一」じゃったな……)
一匹はどうしようかと悩んだ。もしかしたらステータスが変わっているだけでドラゴンのときのままのステータスかも知れない。まあ、そんなことはあるはずがないのだが。
「……三じゃな」
「三なら……あれくらいは持てると思うよ」
そういいながらスライムはにゅるっと指の形を作り出して差した。
一匹は指の先にある魔鉱石を見た。
「……本当にあれで合っているのかの?」
そういいながら一匹は指差された魔鉱石に近づいた。一匹はスライムが頭の上? に乗せたように同じく乗せてみた。
凄く軽い。まるで何も乗せていないかのようだ。うん、これなら楽に運べるね……
「いや、流石にこのサイズは小さすぎないかの?!?!」
そういいながら頭の上に乗せた魔鉱石を、自ら作り出した手で指差した。そこには赤ん坊の握り拳ほどの魔鉱石が乗っていた。
「ふふふっ……君の反応が面白くてね」
スライムは人間のように口元を隠しながら笑った。
一匹は今度こそ筋力値に沿った大きさの魔鉱石を頭の上に乗せた。ただし乗せたままだとさっき入ってきた入り口から出られないので、一度おろし入り口の穴に詰める。
後ろから一匹が身体? 頭? で押しながらじりじりと進んだ。穴から抜け、魔鉱石が「コトッ」と音を立てながら数センチの段差を落ちた。
一匹は自分が出られるとこまで魔鉱石を移動させると穴から抜き出た。
「うむ……このまま巣まで持って帰るのかの?」
「そうだよ。行きみたいに
「え……」
ちょうど穴から出て来たスライムに訊くと、無事に帰れるかどうか心配になってきた。
まだ夜が明けるまで四、五時間ほどあるのでゆっくり帰ってもいいが、夜行性の
(出来れば
一匹とスライムは洞窟から出て、来た道を帰った。
道中、先程は戦闘中で気がつかなかったが、いろいろな木の実が成っていた。
植物もいろいろ生えており、中でも気になったのが、植物のはずなのに大きく口を開いているように見え、口の周り? にはとげとげがいくつも付いており、まるで『植物の魔物』のように見えた。
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