第二話 新たな光に潜む影 2

「ちなみにレベルは幾つなのじゃ?」


「?」


 スライムは首をかしげた。一匹は「しまった!」と言うようにプルプル震えだした。


「……さっきのはわ――」


 忘れてくれんかの。そう言いかけたが言い終わる前にスライムはから横やりが入った。


「レベルって……自分で見られるの?」


 案の定な答えが返ってきた。一匹が持つ『ステータス表示』のスキルは、長年│人族ヒューマンを見て独自に覚えたスキルだ。そのため一匹以外に『ステータス表示』のスキルを持つ物はいないのだ。


「あ、あ~……いや、何でもない。のじゃ……わ、わしが勘違いしてしまっただけじゃ。ほ、ほほ」


 一匹は苦しい言い訳をした。これで通れば良かったのだがそうは問屋が卸さない。


「これから一緒に旅するんだがら……隠し事は、なしね?」


「う、うむ……」


 仕方なく一匹は『ステータス表示』のスキルのことを教えた。


「実はの以前人族がわしら魔物のステータスを見る、『ステータス表示』というスキルを使っていたのを見かけての――」


 一匹は、元はドラゴンだったこと、『ステータス表示』のスキルをドラゴンの時に取得したということを、話のつじつまが合うように伏せて言った。幸い、スライムも長寿のため、百年掛けたことを強調して説明することが出来た。


「……じゃあ、君が持ってる『ステータス表示』はユニークスキルってこと?」


「うむ、そうなるの」


「そっか~、ざーんねん」


 一匹とスライムは出口に向かって(飛び)歩き始めた。外を見ると意外と話している時間が長かったのか、もうすっかり日は落ちていた。辺りは静けさに見舞われ、夜の帳に包まれていた。


「私はこれから魔鉱石を集めに行くんだけど、君も行く?」


「……そうじゃな、ここに居ても暇じゃろうしな」


 そう聞くとスライムは地面に向けて魔法を放った。一匹はびっくりして身構えるが、何も起こらなかった。目を開けて魔法が命中したであろう場所を見るとぽっかりとスライム一匹分入るくらいの穴が開いていた。


「さ、行くよ」


 そう言い終える前に、スライムはその穴へジャンプして入っていった。一匹は一人取り残され呆然としつつ、追わないとと思い一匹も続けて入っていった。

 穴の中は真っ暗だが、土の冷たさが転がって落ちている一匹の体を落ち着かせている。やがて、遠くに一筋の光が見えてきだした。


「――て、うわぁぁぁーー!!」


 ドン


 穴から抜けると、降りてきたスピードのまま勢い余って空中へ放り出された。一匹は目を回しながら空を泳いだ。そして地面へ不時着した。


「ィ、タタタ」


 一匹は腰をさすりながら起き上がった。

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