第一話 不幸と出会い 4
この先の目標が決まったところで、一匹は思った。『捕食』スキルでいろんなスキルを貰いに行こうと。そう思い立ち(スライムに足無いけど)とりあえず、たまに湧いてくるゴブリンが出て来た方面に向かってスキル調達に行った。
案の定ゴブリンの集落が見つかった。それも「祭りか?」と思うぐらい沢山のゴブリンが賑わっていた。
一匹は木陰に隠れてその様子を窺っている。スキル『魔物言語Ⅹ』を使い、ゴブリン達の会話を盗み聞く。
「――でな、あんときがほんま一番怖かったんだわ! ほんま、死ぬぅかと思うたわ」
わらわら、ガヤガヤ
「良く無事だったな、わいなら確実に死んでたな――」
(……ゴブリンはそう言う
一瞬遠くの方に――が見えた。一匹は“それ”がなんなのかすぐに分かった。だから行動に移した。
一匹はスキル『変色(固定)』を使い周りの景色に溶け込み、木陰から出ないように気をつけつつ回り道しながら“それ”に近づいていった。あと少しの所で“それ”を監視していたゴブリンに見つかってしまった。一匹は急いで“それ”を奪うと、一目散に『逃走』していった。
「危ないではないか! 当てずっぽうに逃げても意味ないのじゃがな……」
当てずっぽうに逃げていたせいで小川にぶち当たってしまった――小川と言っても幅二メートル近くある。(一匹目線で)
「な! 川か……」
(これはまさに「背水の陣」というやつかの……まあ、やれるだけ戦ってみるかの)
追ってきたゴブリンが一匹に追いついた。数は五匹、それぞれ棍棒やら錆びれたナイフやらを持っていた。
(まずは『水弾(固定)』)
すると近くの小川から『水弾』が無数に飛び放たれた。
(え? 魔力が消費された感覚がない……じゃと?)
ゴブリンは小川から出た『水弾』によって吹き飛ばされた。が、ひときわ大きいゴブリンだけ生き残った。一匹は、他の魔法も試してみようと思い魔法を発動させた。
……『水流操作(固定)』
すると案の定、小川から水が巻き上がりそのまま一匹とひときわ大きいゴブリンは、それぞれ別々の方向に勢いよく飛ばされた。せっかく盗んだ“それ”もとい、魔石も落としてしまう。
ギ、ギギァァァアア……!!!
「わ、わわわああぁぁああ……!!!」
そのまま遠くに見えていた山に不時着した。山の岩肌に勢いよくぶつかった一匹はそのまま壁を沿って落ちていき、開けた場所(直径二メートルほど)に降り立った。今にも崩れ落ちそうなほど小さなスペースだが、今はスライムなのでそれほど問題ではなかった。一匹は眼をグルグル回らせながらふらふらしている。
崖から下を見下げると確実に死ぬであろう高さだ。ドラゴン三頭分くらい。一匹はなるべく壁際の方へ行き、ヘマで落ちてしまわないように気をつけた。
横を見るとちょうど一匹が通れそうな道があった。一匹は少し迷ったがその道を進んでみることにした。
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