第一話 不幸と出会い 2
まだ状況が上手く掴めていない中、考えるまもなく突如として後方にあった木陰が騒いだ。
ガサガサッ
「ほぅ、ゴブリンか……」
(あれ、この状況もしかしてピンチなのでは?!)
今まではドラゴンだったため、恐れる者など居らず戦いとよべる戦闘をしっかりとしたことがない無縁な生活を送っていた。だが今のこの状況、どうだろうか。
「まずい!まずい!まずい! まずい!」
全速力、と言ってもスライムに足は無いので一心不乱に跳ねながら一目散に逃げ始めた。
「なにか、なにかないのか?!」
そう言いつつ、この場所のことを理解していないのにも関わらず、なぜか前世のステータスを思い出し始めた。
「龍の息吹……いやスライムだから、撃てないんじゃ!」
思考がほぼ停止している中、導き出した答えはこれだ。
「そうじゃ! 『ステータス表示』」
(よし、……使えたのじゃ!)
種族名 スライム
Hp10/10 魔力20/20 素早さ5 筋力3 知力42
属性 水 闇
スキル ステータス表示 闇無効 水無効(固定) 逃走
魔物言語Ⅹ 捕食(固定) 変色(固定)
魔法 水弾(固定) 浄水(固定) 水流操作(固定)
「――て、レ、レベル1ぃぃぃ!!!?」
(……ま、まあ、良かろう。魔法、スキル……『水弾(固定)』か)
すると、まだ何も言っていないのに『水弾(固定)』がゴブリンに向かって放たれた。
「え? ――てか、強?!」
『水弾(固定)』は周囲にあった木を薙ぎ倒すほどの威力でゴブリンに当たり……砕け散った。(ゴブリンが)
(……これ、スキル『捕食』を使うと……)
想定通り考えるだけでスキルが使えた。スライムの固定スキル『捕食』でゴブリンの遺体を体内へ吸収した。(ほとんど形は残っていないが)
『ゴブリンの固定スキルをランダムで獲得します』
突然、頭に直で機械的な声が鳴り響いた。だが一匹にとっては日常茶飯事なので特に気にとめることもなかった。
『固定スキル『漁り』を獲得しました。スキルリストにインストールします――完了しました』
「スライムの固定スキル……強すぎじゃないかの?」
一匹はスライムの知られざる強さに尊敬しつつ、この場所から離れ始めた――が、どこに行ったら良いか分からず、結局戻ってきてしまった。(方向感覚はかなり良い方)
「さて。とりあえずは、ここがどこなのかを調べないといけないのかの……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます