第2話 地雷男子の裏側
「優しさを具現化しようと思う!」
「へぇ、またなんでそんなことを?」
「基本的に優しさとは相手を得させて自分には無影響または損をすることが多い。しかし、巡り巡って自分に帰ってくることはないとはいえないがそんなの計算出来ない。まあ、回りから優しい人という評価を貰えるというメリットはあるかも知れないが。」
「はあ。」
「ただね、友人がどうも優しすぎるみたいなんだ。」
「あら、意外。友達いるんですね。しかし、先生にしては素敵な友人さんですね。先生も少しは優しさをわけてもらったらどうですか?」
「いいや、遠慮するよ。それに僕にも優しさはある。例えば、沼にはまって抜け出せずにいる猫がいるとする。もう助からないのは明白。それでもその猫は足掻いて、苦しさがどんどん増していく。そしたら僕は殺してやる。」
「ずいぶんと狂気的な優しさですね。」
「ははは。根本的に違うね。優しさ自体が狂気なんだよ。」
「狂気なわけないじゃない。そしたらみんな発狂してることになりますよ。」
「いいや、そうじゃない。優しさとは小さな狂気性を秘めているんだ。その優しいが積もって狂気になる。僕の友人はそれなんだ。」
「いいことではないんですか?」
「いいことのわけがない。死にかけの猫と出会ったら、自分の命を捧げても助けようとするやつだぞ。」
「いい人じゃないですか。」
「違う。文字通りなんだ。その猫を助けるために犠牲が必要だと言われたら、命だって投げ出すやつなんだ。」
「猫のために?」
「ああ。猫だけでなく他の動物、子供や女、親しかろうとなかろうと助けようとするんだ。」
「異常ですね。」
「やっとわかってくれたか。優しさを具現化する方法は簡単だ……。」
内容はとても言えない。言っても気持ちのよいものではないし、意味のあるものとも思えなかった。それでも、この先生は止まらないのは知っている。嫌だなと思いながら優しさを具現化する方法を準備した。
地雷女子との更生記 @neishin
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