エピローグ

「いつまで泣いているつもりだ?」


「だっで〜」


 せっかく戦いが終わったと言うのになぜこいつらは泣いているのだ?


「良い加減に泣き止めよ」


 もれなく全員泣いているからな。


 まぁこいつらは地球を背負った戦いだったからな、やっとプレッシャーに解放されたのだろう。


「うおおおおおお!!」


「お前は良い加減に離してくれよ」


 ノーゲは泣きながら余に抱きついて離れないのだ。

 

「俺は嬉しい!まさかルーロの息子が生きていたなんて!」


 そうか、こいつは余の父親と知り合いだったらしいな。


「おーい!この状況なんとかしろ!女神!」


『良かった、宇野くんが生きてて…』



 はぁ、お前も泣いているのかよ。



 ***



 …やっと泣き止みやがったよ。


 こいつらは一体何時間泣けば気が済むのだ。


 これでようやく地球に帰る事が出来る。


「皆落ち着いたか?じゃあ、帰るぞ。ノーゲ短い間だが世話になったな。気が向いたら遊びに来てやるよ」


 さっさと帰ろう、さっきから多くの者に見られている気がして何か嫌な感じがする。


「待ってくれ!」


 ノーゲは余を呼び止める。


「なんだ?もう用はないはずだぞ」


 早く帰って余は妖精にエサをやらなくてはならないからな、あいつは定期的にエサをやらないと飼い主を忘れてしまうからな。

 

「なぁ、宇野。ここの王になる気はないか?」


 はい?


「王?ここ何かの国だったのか?前までは王という肩書きに興味があったが今は違うのだ。悪いが余は地球に帰ってのんびり生きていくのだ」


 それに余はメッカに人間が好きみたいなことを言ってしまったからな、それでここの王になるとか意味が分からないよな。


「そんな事言うなよ、元々はルーロがここの王になる予定だったんだ。代わりにお前がなるのが良いに決まってる」


 なんかそういう事も言っていた気がするな。


 だが、余が父親の代わりになる必要なんてものはない。


「おーい!ルーロの息子がここの王になってくれるかもしれないぞ!」


 突然ノーゲは大声を出す。

 

 こいつは一体誰に向かって言っているのだ?


 

 ザワザワザワザワ



 するとゾロゾロとどこからか余たちの周りにボロボロになっているデスゴーンらしき奴らが姿を現してきた。


「こいつらはメッカによって毎日奴隷のように働かせられていたデスゴーンたちだ」


「ちょっと待て。余は本当にやらないからな」


 余の反応に反して周りにいるデスゴーンたちは余を期待の眼差しで見てくる。


「お前がやらなかったら誰がやるんだよ!」


「お前がやれよ!余はもうこいつらと帰るのだ!」


 とりあえず余はこいつらを味方にしておかないと余の状況が不利になる。


「そうですよ、宇野さんは私たちと一緒に帰るんですよ」


 九重菫の言葉に他の4人は頷く。


 よし、ここは上手くいった。


 ここでこいつらに後押しされていたら流れで王になっているところだった。


「話し合いでは埒が明かないな。じゃあ、もうここは勝負しよう」


 何がじゃあ、だよ。


「勝負?」


「勝負で俺が勝ったら王になれ。負けたら俺が王になる」


「勝負の内容は?」


 明らかにこいつの有利なものだったら今すぐにでも帰ってやる。


「単純ににどっちが強いか、だな。ここでは人望もそうだが、強さも王の素質に必要なものだからな」


 じゃあ余が負けたらお前の方が向いているのではないか?と、思ったが今は引っ込めておく。


 なぜならこの勝負余が有利だからな。


 あいつは見るからにメッカとの戦いで体力もマナも消耗しているからな。


「良いだろう受けてやる」


 パッと勝ってパッと帰るか。


「俺が言い出した勝負だからフェアじゃないな。魔法少女たちにもこの勝負に入ってもらおう。いいか?」


 こいつはバカなのか?


「良いだろう。お前らも良いよな」


 魔法少女の5人は頷いた。


 こいつらは無条件で余の味方なのだぞ?


 これでは6対1になってあいつが可哀想だが、勝つには手段を選ばない。


 99%余の勝ちが100%になってしまったな。



 ***



「余たちはいつでも構わないぞ」


 こんな無駄な戦いになんの意味があるのだろうな。


「勝負の前にちょっとだけいいか?」


「なんだよ、さっさと済ませろ」


「ここは一夫多妻だからな。じゃあ始めよう」


 は?だからなんだって話だよ。


 なんの悪あがきにもなっていないからな。


「おい、どうする。メッカのトドメに使ったあの合体技もう一回やっとくか?…それだとあいつが可哀想だな。……お前らもそう思うよな?」


 あれ?中々あいつらからの返事が返ってこない。


 て、おいおい!


 なぜか魔法少女どもは余から離れて行っている。


「ごめんね宇野くん」


「宇野、ごめん」


「本当にすみません宇野さん」


「ごめん」


「宇野さんごめんなさい!」


 な、何を謝っているのだ?


 まるでこれから余を裏切るような雰囲気を出して。


 お前らも余と一緒に帰りたそうにしてたよな?


 余たちの今までの絆は嘘ではないよな?


 そして、なぜお前らは合体技を余に放とうと構えているのだ?


「もう心は一つだね」


「「「「うん!」」」」


「「「「「スーパースマイルスプラッシュ」」」」」



 余にとって見慣れた魔法が余に向かってくる。



 


 はぁ〜、人生上手くいかないものだな。








 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 これにてこの物語は完結です。


 一応完結はしていますが、その後が数話ありますので良かったらぜひ見てください。


 皆さんの応援があったおかげで完結できたと思っています。


 今までこの作品の応援をしていただきありがとうございました。

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