2年生編 第101話

 はい?


 余の父親?


「お前余の父親なのか?」


「うん。章大のお父さんだよ」


 へー、こいつが余の父親なのか。


「で、お前は余に何の用があってここに来たのだ?」


 こいつが案内人なのか?案内人になぜ父親が採用されたのだ?


「ん?あれ?初めて会ったんだからもっと抱きついたり、泣いたり、なんなら何で今まで会えなかったんだって殴ったりしても良いんだよ」


「余も自分が何者なのか気になっていたがもう死ぬのだからもう何だって良い」


 最初は余が何者なのか気になって仕方なかったが、もう死ぬのだから知っても仕方ない。


 だが、こいつの名前からして外国人なのか?外国人にしても変な方ではないか?


「というか、余は死んだのだろう?あとは余が天国か地獄に行くだけなのになぜこのタイミングで現れたのだ」


 このタイミングの意味が分からない、というかこの今の時間は何なのだ?


 余はまだ死んでないのか?だが、あの暴発の感じだと即死だからそんな事無いはずなんだがな。


「そんなの章大に会いたかったからに決まってるじゃん」


 こいつなんか軽い奴だな、本当に余の父親か?


「今まで会いに来なかったくせに今更何父親ぶっているのだ」


「ごめんね。今まで会えなくて」


 余の父親を名乗る奴は落ち込む様子を見せる。


「まぁ会えない理由があったのだろう。そこまで気にするな」


 そこまで落ち込まれたら余は気にしてしまうだろう。


「そうだよね、章大は良い子だったね」


「何余の事を知った気になっているのだ」


「ごめんね。そうだよね、何を知った気になってんだよって思うよね」


「まぁ知った気になって何が悪いんだって話だよな」


「ありがとう」


「別に」


 何だよこの空気。


「一旦整理しよう。とりあえず余は死んだのか?」


「まだ完全には死んでないかな」


「なぜ余はまだ完全に死んでいないのだ?確実に余は死んだはずだ」


「僕の魔法だよ。僕の魔法でまだ死んで無いんだよ」


 魔法?


「魔法ってお前何者なのだ?」


「僕はデスゴーンだよ」


「はい?」


「章大はデスゴーンと人間のハーフだよ」


「お前人間と結婚したのか?」


「そうだよ」


 まさか本当にデスゴーンと人間のハーフだったとはな。


 だからちょっと変な名前だったのか。


「どうやって出会ったのだ?」


 どうやって出会ったのだろう余の母親と。


 そんな人間とデスゴーンの交流なんか無かったはずなのに。


「たまたま発見出来たんだよ。地球と繋げるワープ先を」


「じゃあお前が初めてデスゴーンで地球に来たのか?」


「そうだよ。で、戻る方法が分からなくなって困ってた時にお母さんと出会ったんだよ」


「余の母親か?」


「そう、章大のお母さんだよ。僕の妻でもあるね」


 僕の妻の方は言わなくて良かったな。


「余の母親はもういないのか?」


「いるよ。でも、あっちはもう2人ともいないと思ってるよ」


「お前が会いに行けば良かっただろ?」


「僕はもう死んでるからね」


「じゃあこの状況はどう説明するのだ。余は死んでいなくて、お前は死んでいるのになぜこうやって今会えているのだ」


「僕のマナを章大に託したからね。だから今は僕の意思と話している感じかな」


 全く分からない、こいつは一体何を言っているのだ?


 だが、余のマナは余のマナではなくてこいつのマナだったのか。


「ほら、分身も章大に似てなかったでしょ?それは僕のマナだからだよ。だから服も作れたんだよ」


 あー、だから余の分身は大人しかったのか。


 服?それは忘れた。


「で、なぜお前は死んだのだ?」


「メッカにやられちゃった」


 やられちゃったって…。


「メッカが赤ちゃんの章大を狙っていたからね、僕の嫌がらせのために。章大と一緒に逃げてたらメッカにやられちゃって、その時にマナを託したんだよ」


「メッカと仲が悪かったのか?」


「どっちかが国王になる予定だったから僕のことがいらない存在だったんだ」


「で、お前はなぜ余の前に現れたのだ?さっさと天国に連れて行ってくれよ」


「それはちょっと出来ないな」




 もうさっさと天国に連れて行ってくれよ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る