2年生編 第99話
ようやく隙を見せてくれたメッカに余は最後の望みをかけたカウンターを仕掛ける。
やっとメッカの懐に入れたのだ、ここで外したら余は死ぬ。
頼む…。
当たってくれ。
当たってくれたらこれからはちゃんと生きるから。
もう皆に偉そうにしないから。
ちゃんと目上の人には敬語も使うから。
言われた事に嫌な顔をせずに返事するから。
授業は寝ずにちゃんと受けるから。
クラスの奴らには適当に接さず愛想良くするから。
もう休み時間に話しかけてくるクソ陰キャの事を無視しないから。
もう金髪の奴を馬鹿にしないから。
よく褒めて欲しそうにする九重菫を鬱陶しく思わないから。
高宮千沙とはよく口喧嘩をしてしまうが、たまにはちゃんと会話するから。
口うるさく余の母親ぶる桜井莉緒には感謝してやるから。
だから…。
だからこの攻撃死んでも当ててやる!
「いやぁ、危なかった。ちょっと俺様も油断し過ぎていたようだな」
…外したか。
もうこれで余の打つ手は無くなってしまった。
立っているのでやっとだから反撃なんか出来る訳無いし、こいつの攻撃を避ける事も出来ない。
「もう終わりか?まぁ立ってるのでやっとって感じだからもうお前に勝ち目は無いか」
「いや、どうだろうな」
余は最後の気力を振り絞り強がる。
「ふっ、まぁいいわ。最後に言い残した事はあるか?」
ああ、余はここで死んでしまうのか。
「地獄におちろ」
「そうか。じゃあな」
グシャッ
メッカの腕が余の腹部を貫く。
ポタポタと自分の血が地面に落ちるのが分かる。
目の前が真っ暗になる。
「残念だったな。最初から俺様の味方になっておけばこんな事にならなかったのにな」
そういえばこいつは余と組んで一緒に魔法少女を倒そうと持ちかけてきたな。
死にそうってのになぜ余はこんなにも冷静なのだろうか。
「こいつを殺した事だし、次は魔法少女だな」
余が負けたって事は次に戦うのは魔法少女どもになるのか。
「…ん?抜けねぇ」
「ハァおいおい、まだ余と遊ぼうぜ」
メッカは余を殺したと思い腕を抜こうとするが抜けなかった。
「何してんだよ、さっさと離せよ。もうお前は負けたんだよ。こんな無駄な時間稼ぎに何の意味があるんだ」
「無駄でも、ハァ時間稼ぎでもねぇよ」
余はメッカが逃げ出さないように筋肉でメッカの腕を止め、メッカの腕が掴む。
「ハァハァ、知ってるか?魔法って暴発する事があるんだよ」
「お前まさか!」
「そう、ハァそのまさかだよ」
魔法に必要なマナが超えてしまうと暴発を起こしてしまう。
魔法が暴発すると自分を含めて周りの場所が爆発してしまう。
まだ余が魔法を使って間も無い時に暴発を起こしてしまった時があった。
その時はちょっとしか越えていなかったから爆発は小さかった。
だが、威力はとんでもなかった。
山一つは吹き飛ぶくらいの威力だ。
だったら大きく超えてしまったらどうだろう?
「馬鹿か!そんな事をしても俺様は死なないぞ」
「だが、十分ダメージを与えられるだろ?」
「自分を犠牲にするつもりなのか!」
「どうせ余は死ぬのだ。それに犠牲ではない、託したのだ」
「離せ!離せ!」
「あとは任せた」
余はここにいない魔法少女に最後の言葉を送った。
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