2年生編 第98話
は、速すぎる。
これが完全復活したこいつの強さなのか?
余はあいつの姿を目で追うことしか出来ていない。
右から左、上から下へとあいつの攻撃が余の体を襲う。
余は身体を丸めてあいつの攻撃をカードする事で精一杯だ。
このままではジリ貧で余が負けてしまうから何とかカウンター狙いでメッカに攻撃を当てなければならない。
「おいおい、あまり俺様をガッカリさせるなよ!」
あいつは自分が強いと思って油断しているからいつか隙が生まれる、そこを狙うしか無い。
「何だよ、さっきまでの威勢の良さはどこにいったんだよぉ!」
「うるせぇな、お前の方こそそんな弱い攻撃で余にダメージが入ると思っているのか?」
「じゃあその脚は何なんだよ、ずっと震えて立ってるのでやっとのようだぞ」
口では強気なことを言っても身体は余裕が全く無い。
「あ〜、この世界にはこんなことわざがあるんだぜ。弱い犬ほどよく吠えるってな」
「………」
余の煽りが効いてメッカの攻撃が強くなってくる。
余はただ待つしか出来ない、こいつの隙が生まれる瞬間を。
〜5時間前〜
「それ本当に言ってますか?」
余は最後の戦いの前に魔法少女を除いて女神の奴と話し合っている。
これを聞いたらきっと魔法少女の奴らは反対するだろうからな。
「こんなしょうもない嘘をつくはずがないだろ」
「本当にメッカとサシで戦うんですか?」
魔法少女に伝える作戦ではメッカと戦うのは魔法少女だが、メッカと戦うのを余に代えろと女神に伝える。
「ああ、これは余しか出来ないし、勝つにはこれしか無いからな」
「もしかして死ぬ気ですか?」
「そんな訳無いだろ…、と言いたいところだが、まぁ死ぬだろうな」
完全復活の前のメッカにボコボコにされているようじゃ完全復活に歯が立つ訳がない。
「余が死んだ後の魔法少女の対応は頼んだぞ」
「待ってください。そんなの私が許可するはずが無いでしょ」
「頼む。余はお前を信用してこうやって頼んでいるのだ」
「ズルいですよあなたがその言葉を使うなんて」
「だから使ったんだよ」
「分かりました。あなたの覚悟を無駄には出来ませんから」
「助かる」
これでやっとメッカに勝つ可能性が50%くらいにはなったはずだ。
余が死んだ後の世界なんて興味は無いが、メッカにはこの世界は相応しく無いからな。
「じゃあこれからの事は頼んだぞ」
バッ!
余の背後から女神が抱きついてきた。
「ごめんなさい。あなたにこんな役目をさせてしまって。ごめんなさい。あの時も救う事が出来なくて」
「心配するな、まだ余が勝つ可能性があるからな」
余は適当な嘘をつく。
「死なないでください。生きて帰ってきてください」
悪いがそれは出来そうにない。
***
「これ以上俺様の攻撃を受けたら死んでしまうぞ」
「相手の心配をするとは随分と余裕だな」
来る。
必ずチャンスは来る。
それまで耐えろ。
「もうこれで楽にしてやるよ」
来た!
攻撃のモーションが大きくなった、チャンスはもうここしか無い。
決める!
余は最後の望みをかけてメッカに攻撃を仕掛ける。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます