2年生編 第88話
「ねぇまだ?」
「黙れ。送ってもらう立場のくせに文句を言うな」
放課後になり、家まで宇野に送ってもらう事になったから聞いてみたけどなんかキレてるのよ。
「何を待つ必要があるのよ」
「こんな所見られたらクラスの奴らにイジられるに決まっている」
「別に良いじゃない。ちょっとくらいイジられたって」
出た出た、宇野の変なプライドの高さが。
「お前は良いよな、友達がいないから」
「はぁ?別にいますけど?」
「嘘つけ。お前が余以外と話している所なんか見た事ないぞ」
「あるわよ!あんた以外と話した事くらいいっぱいあるわよ」
まぁ、いっぱいって人それぞれだから私にとっていっぱいってだけだから。
そもそもあいつが人気者なのが気に食わないのよ!
あいつのどこが良いのよ。
「とりあえず人の気配が無くなったら連れて行ってやるから待っとけ」
「はいはい」
***
「あんたって本当に運動神経だけはすごいよね」
「運動神経だけってのは余計だな。あと、しゃべると舌噛むから黙ってろ」
別に余計ではないでしょ。
本当に運動神経だけが取り柄みたいなものなんだから。
「で、お前の家はどこなんだ?」
宇野は立ち止まって私の家を尋ねる。
「もうとっくに過ぎたわよ」
「は?」
「だからとっくに過ぎたわよ」
「………」
「な、何よ」
宇野は私を黙って睨みつける。
「イタッ!」
宇野は私の脚をつねった。
「何すんのよ!」
「お前は本当にどうしようも無い奴だな」
「誰がよ!謝りなさい!」
「黙れ。さっさとお前の家を教えろ」
「先に謝るのが先よ」
「いや、謝るとしたらお前だからな」
「何で私が謝らなくちゃいけないのよ!」
「もう分かった。もう良い。お前の家を教えろ」
何であんたが大人の対応をするのよ。
「次変な事したら落としてやるからな」
怖っ。
***
「はい。ここが私の家よ」
長かった。
宇野が文句ばっかり言うから中々時間が掛かっちゃった。
「本当に金持ちなんだな」
「だから言ってるじゃない。まさか今まで嘘ついてると思ってたの?」
「お前は本当に嘘つきだからな」
「本当にって何よ!」
「お前は見栄のためなら平気で嘘をつくと思ってるからな」
「あんたが私をどう見てるか今分かったわ」
誰が見栄のためなら平気で嘘をつく、なのよ。
こう言う事は普通思ってても本人には言わないわよ。
「何やってんだよ、さっさと入れよ」
「何であんたが先に入ってんのよ!」
宇野は他人の家をヅカヅカと入っていく。
こいつは緊張とかしないの?
「あ〜勝手にドア開けないで!」
こいつ片っ端からドアを開けていってる。
モラルとか無いの?こいつには。
「ここがお前の部屋っぽいな」
「ちょっと!絶対に入らないでよね!」
「うわっ、ベッドふかふかだな」
「嘘でしょ?!何でベッドに行ってんのよ!」
これ本当に大丈夫なの?
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