2年生編 第69話
…え?
何が起こったのか余には全く分からなかった。
状況を整理すると、一緒に帰ろと言われる、一緒に帰る、告白される。
は?
なぜ余は九重菫に告白をされたのだ?いや、あれは告白と言って良いものなのだろうか。
だが、あれを告白と捉えても仕方ない流れではあった。
だって、じゃあ私と付き合ったも良いってことですね?だぜ。
こんなもの告白以外に何があると言うのだ。
桜井莉緒に続いてこいつが余に告白してくるとはな。
だが、今思えばこいつは余にベタベタしていた気がするような気がしなくもない。
とりあえずこいつの言葉に返事をしなければならない。
「そ、それはど、どういうことなのだ?」
一応、これが告白なのかどうかを確認しなくてはな。
「言葉の通りです。莉緒さんと付き合ってなかってなかったら私と付き合っても良いですよね」
間違ってなかったぁ〜。
こいつも余と付き合いたいのかよぉ〜。
「もしかしてだが、お前も余のことが好きだったのか?」
これ聞くの恥ずかし。
余の好きなのか?って聞くの恥ずかし。
これ合ってたら良いのだが、間違っていたらもう余は生きていけないぞ。
「そうですよ。ずっと好きでしたよ」
良かったぁ〜、こいつ余のこと好きだったぁ〜。
違ってたらどうしようかと思ったぞ。
いや、ずっと好きだったのかよ…。
「そ、そうなのか…」
「そうですよ」
こいつも余のことが好きだったのか〜。
だが、こいつが余を好きになる理由がないのだ。
もしかしたら桜井莉緒と同じで余を好きになった理由があるかもしれない。
「いつ、どこで好きになったのだ?」
「ん〜?覚えてませんね」
「覚えてない?」
何を言っているのだ?こいつは。
こういうのは覚えているものではないのか?
「最初はお兄ちゃん的好きだったんですが、いつの間にか本当に好きになったんです」
お兄ちゃん的好きって何なんだよ。
余はそんな言葉知らないぞ。
「それで余と付き合いたいと」
「はい」
即答しないでくれよ。
「私は宇野くんに対していっぱい甘えると思います」
おっ、急にどうしたのだ?
「だけど、私は仕事が出来るのでお金には困らないと思います。きっと宇野くんは仕事は出来るとは思いますが、団体行動は出来ないので馴染めなくて辞めさせると思うんです」
なに、そのリアルな話は。
仕事は出来るが団体行動は苦手って、いや、合ってるが。
「私も宇野くんが認められない会社なんて辞めても良いと思うんです」
これはこいつの妄想だよな?
「でも、安心してください。私は絶対に宇野くんを見捨てたりはしません」
ここで九重菫は大きく息を吸う。
「誰よりも宇野くんのことが好きです。宇野くんのいない世界なんて考えられません。だから、私の恋人になってください!」
勘弁してくれ。
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