2年生編 第67話
え〜まだ5分くらいしか経ってないんですけど。
何だよこの雰囲気は、この何とも言えない小っ恥ずかしいこの雰囲気は。
何よりこの雰囲気で嫌なのが桜井莉緒の方が余裕があるところだ。
余がちょっとこの雰囲気にやられて言葉に詰まったり、顔が熱くなったりしているのがめちゃくちゃ恥ずかしい。
桜井莉緒なんかに緊張している余が恥ずかしくて恥ずかしくて。
「で、どう?」
桜井莉緒が意味の分からないことを聞く。
「どう、とは?」
「私に好きって言われて」
そんなことを聞くなよ。
「どうって言われてもだな…」
「嫌だった?」
「嫌…と言うほど嫌ではない」
「良かった」
それで良かったのかよ。
頼むから嫌じゃないくらいで喜ぶのはやめてくれ。
だから、この雰囲気は何なのだ。
もうこれは気まずいと言っても良いだろう。
「なぁ」
「どうしたの?」
「いつどうやって好きになったんだ?」
余に惚れる要素はなかったはずなのにこいつが余に惚れるなんておかしいと思う。
「いつだったかな?…気になったのはお父さんを助けてくれた時かな?」
…結構最初の方だな。
あれって確か一年の時だよな?しかも一年の最初の方だよな?下手したら4月くらいの話だぞ。
「それからその時から気になってはいたけど確実に好きになった時は花火の時かな」
花火?
…あーそんなこともあったような、無かったような。
だが、余にはそのくらい程度の記憶だぞ、それでこいつは余を好きになったのか?
「あの時ねもう花火は観れないと思ってたの。でも、宇野くんが観せてくれたの。いつもは面倒くさがりの宇野くんが私のために動いてくれたのがすごく嬉しくて」
余にとってはそれ程だがこいつにとっては良い思い出なのだろうな。
「それからずっと宇野くんのことが好きだったんだよ」
いや、気づけよ。
流石に鈍感が過ぎるだろ。
「今の聞いてどう思った?」
だから聞かなくいでくれよ…。
「そんな前からだったのだな」
「宇野くんは鈍感過ぎるよ」
「それは…、悪かった」
「別に良いよ。それも宇野くんの良いところだから」
こいつ余に甘過ぎるだろ。
「どうする?私と付き合ったら楽しいよ。料理も得意だし、甘えたい時は甘やかしてあげるよ」
「っ…」
いや、照れるなよ。
なぜか分からないが泣いてしまいそうだ。
「絶対に付き合ってことを後悔させないよ、浮気もしないよ、一緒のお墓にも入るよ。だから私の恋人になって」
「…!」
改めて言われても恥ずかしいものだな。
はぁ〜どうしたものかなぁ…。
「ふぅ〜…、余は」
「良いよ。今答えなくて」
何だよ、覚悟を決めたのに。
「何だよ、今じゃなくても良いのかよ」
「良いよ。その代わりにもっと私のことを考えて過ごしてよね」
「嫌でも考えてしまうわ」
「これから覚悟しておいた方が良いよ」
「ん?なぜだ?」
「大丈夫。すぐに分かるから」
いや、何が起こるの。
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