2年生編 第63話

 言ってしまった…。


 こんな恥ずかしいことをみんなの前で言ってしまうなんて余は一体どうしてしまったのだ。


 だが、これは紛れもない余の本心なのだ。


 こんな情けない余を見せてしまったらあいつらは余から離れていくかもしれないな。



 ………


 ………


 ………



 いや、誰かなんか言えよ!


 なぜ皆は無言なのだ!


 誰かが喋るまで喋らないのは現代人の悪いところだぞ。


「うおおおおおおおお!」


 うわっ!


 びっくりした!この場にいる1人の男がいきなり叫んだ。


 あれ、この場にいる奴らにそんなキャラの奴っていたか?


 

 ダダダダダダッ!



 1人の叫びをきっかけに皆が余に押し寄せてきた。


「うおっ!うお、ど、ど、どうしたのだ?」


 な、何なのだ?余はこいつらに殺されてしまうのか?


 余がナイトメアだからこいつらは余を恨んで皆で殺しにきたのか?


 まぁ余はそれくらいのことをしたのだからこいつらが怒るのも無理もないな。


「俺も宇野と一緒にいたいぞ!」


「俺も一生宇野に着いていくからな!」


 そこまではいらない。


「俺たちはずっと一緒って言っただろ兄弟!」


 お前と兄弟になった覚えがない。


「アニキ!俺は一生アンタに着いていきやす!」


 いつ余はお前のアニキになったのだ。


「ヘイ、ブラザー。それくらいじゃ俺たちは離れることは出来ないぜ」


 余は一体何人兄弟なのだ…。


 というか、こいつらこんなにも熱い奴らだったのか?


「ほら、アンタたち宇野が困ってるから離れなさい」


 7回ビンタ女が余に引っ付いていた奴を引き剥がしていく。


「みんなが言ってる通り私たちが宇野から離れることはないから。ここにいるみんな宇野に感謝してるんだから」


 感謝?余はこいつらに感謝されることをやった覚えはないがな。


「宇野が思っている以上にみんな宇野のことが好きだから。それだけ覚えといて」


 何だよこいつら余は地球を征服しようとしていたナイトメアだぞ、バカだろこいつら。


「あれ、宇野泣いてる?」


「泣いてるわけないだろ!」


「わー!宇野が怒ったぞー!」


 


 ーーーーーーーーーー


 ーーーーーーー


 ーーーー


 ーー


 ー



 あれから余とあいつらとの乱闘が始まってしまって、収まるまで時間がかかってしまった。


 あいつらの気持ちはもう伝わったから良かったのだが、問題はあいつらだ。


 魔法少女どもだ。


 さっき皆が余の所へ来たのだがあいつらは来なかったのだ。


 流石に敵同士の関係であっさりと許してもらえるようなものではない。


 魔法少女どもだけは難しい顔をしてじっとしている。


「桜井莉緒、高宮千沙、九重菫、金髪、柊野葵。ちょっとだけ余の所に来てくれ」


「私は今からでも大丈夫ですよ」


「うおっ!」


 柊野葵はもうすでに余の側にいたから思わず驚いた。


「じゃあちょっと来てくれ」


 余は魔法少女どもを人がいなさそうな廊下へと呼ぶ。


 余は誰も来ないのを入念にチェックをする。


「お前らはどうする?」


 余はこれからの余たちの関係について尋ねる。


 余としてはこれからはもう口も聞かなくても良いと思っている。


 余はそれくらいのことをしたと思っている。


「私、ちょっと良いかな?」


 桜井莉緒に案があるらしい。


 どんな意見でも余は受け入れる覚悟だ。


「知った時は戸惑ったよ、宇野くんがナイトメアだったことが。もしかしたらメッカと仲間で、共闘して私たちを倒すんじゃないかって思ってた」


 メッカと魔法少女が手を組むことは無いが、ナイトメアとメッカが手を組む可能性はあるな。


「そしたら私たちのせいで地球を征服されるんじゃないかって怯えた時もあった。何より、宇野くんが私たちを騙していたことがショックだった」


 まぁそうだよな。


 余は敵なのを隠してこいつらと学校生活をしていたのだから。


「けど、宇野くんがいなくなった時の方が何倍もショックが大きかった」


 あ、そうなんだ。


「宇野くんには一生私の側にいてほしいの。だから」


 ここで桜井莉緒は息を整える。



「私の恋人になってください」











 ビェッ!?

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