2年生編 第59話
ピンポーン
ん?
余の家のインターホンが鳴った。
これは余の家のインターホンなのだろうか、もしかしたら隣の家のインターホンなのかもしれないから出ないでおこう。
そう自分に言い聞かせ、相手がどこかに行くのを待つ。
ピンポーン
ピンポーン
ピンポーンピンポーン
しつこいな、早くどっか行けよ。
ピンポーンピンポーン
ピンポーンピンポーンピンポーン
ピンポーンピンポーンピンポーン
シーーン
やっとどっか行ったな。
宅配をした覚えがないから余を知っている誰かがインターホンを押したのだろう。
ここで出てしまったら余の気持ちがブレてしまう気がする。
ここは出ないのが正解だろう。
パリーーンッ!
は?
な、何が起こったのだ?
インターホンが鳴り止んだと思ったら窓が割れる音がした。
「よっしゃ!みんな宇野を連れ出せ!」
「「「おう!」」」
割れた窓から入ってきたのは男だらけのクラスメイトの奴らだった。
「な、な、何をしているのだ!」
10人くらいが余に群がり、余を持ち上げる。
「お、おい!何をしているのだ!早く降ろせ!」
「「「へい!わーっしょい!わーっしょい!」」」
何を楽しそうに余を担いでいるのだ。
「おい!馬鹿。せめて靴は脱げよ!ここは土足厳禁だぞ!これあとで掃除が面倒なんだぞ!」
こいつら何を平気で他人の家に土足で上がってくることが出来るのだ。
「服とパンツを探せぇ!あと靴下も忘れるなぁ!」
「「「はい!」」」
クラスの奴らは合図が出た瞬間に余の家のタンスを開け始めた。
このうざい合図を出しているのは佐々木だな。
あと、なぜ服とパンツと靴下がいるのだ。
旅行にでも行くつもりなのか?
「お前らの目的は何なのだ!」
「それは着いてからのお楽しみってやつだよ」
いや、うざ。
何が着いてからのお楽しみだよ、いつ言っても変わらんから今言えよ。
「冗談はここまでにしろ。今すぐ降ろせ」
「よし、目隠しして手を縛れ!」
「「「はい!」」」
「おい!やめろ!」
誰かが後ろから目隠しを着けたせいで余の視界が真っ暗になった。
ジャラジャラと鉄の鎖もわざわざ準備してきている。
はぁ〜、もう良い…ここまでされたら付き合ってやるよ。
***
長い。
もう3時間以上は経っているぞ。
途中からノイズキャンセルのイヤホンを付けられたからヒントが本当に何もないが、車に乗せられたことは分かった。
ここで会うのも最後になるからな、最後の思い出作りに付き合ってやるよ。
「着いたぞ」
余の視界が一気に光が目に入ってきたから眩しくて目が中々開けられない。
ん?
余の目の前には海が広がっていた。
は?
な、何だ、今余は夢でも見ているのか?とうとう死んでしまったのか?
「ここはどこなのだ?」
「海だ」
海だった。
じゃあなぜ余は海に連れられたのだ?
「なぜ海なのだ?」
「旅行だ」
いや、当たったのかよ…。
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