2年生編 第58話
何もおかしなことはない。
決まっていたことだし、分かっていたことだ。
余が飛び降りようとしてナイトメアになった時から魔法少女どもとは敵対関係になることは決まっていたことだ。
あいつらと一緒にいる時間が長ければ長いほどバレた時がああなるのは分かっていたことだ。
なのに何だろうな、この気持ちは。
もう学校にも行けなくなってしまったなぁ、1年とちょっとだけだったが、まぁ悪くはなかったな。
別にあいつらのことなんか好きでも何でも無いが、長い時間共にいれば少しは寂しく思ってしまうものだな。
別れの言葉は…いらないな。
あいつらならきっと余がパッといなくなっても何も思わないだろう。
しんどい時も多かったし、うざい時もあったし、面倒くさい時もあった。
だが、まぁあれだな、そこそこ楽しかった時もあったわ。
次に会うときは余がこの地球の王になった時になるな。
ガチャ
なんて余らしくないことを考えていたら余の家に着いていた。
「あ!おかえりポヨ〜!」
余が帰ってくると妖精が出迎えてくれた。
「いや〜心配したポ」
ガシッ
余は妖精の頭を鷲掴みする。
「余の目の前から消えるか、ここで余に殺されるか決めろ」
「じょ、冗談ポヨね?」
「冗談じゃない。どっちか早く決めろ」
「嘘ポヨ!宇野くんがそんなこと言うはずがないポヨ!」
「嘘ではない。お前の頭を鷲掴みにしているのは間違いなく宇野章大だ」
「違うポヨ!僕の知ってる宇野くんはこんなことしないポヨ!お前は誰ポヨ!」
妖精の目から涙が流れてきた。
こいつは気づいているはずだ、だが認められないのだろう。
「何度も言わせるなもうお前の知っている余はいない」
ダメだこいつ、ここから動く気がないようだ。
「じゃあな、また会えたら良いな」
余は窓を開けて妖精をぶん投げる。
肉眼では見えなくなるくらい遠くまで投げてやった。
よし、邪魔者はいなくなった。
今から余の魔法がまた出るように心のモヤモヤを消さないといけない。
まずは余をいじめていた奴らの本性を知らなくてはならない。
余がナイトメアになった理由が復讐だと言うのに謝ってきやがったあいつらの本性を知らなくてはならない。
あいつらがあんな簡単に変われるはずがない。
あいつらを何日も観察して本性を見破ってやる。
***
そうか、そうだったのか。
なぜあいつらが余に謝ってきたのかが分かった。
余をいじめていた奴らは高校に入っていじめられていたらしい。
だからいじめられる気持ちが分かったのだろうから余に謝ってきたのだろう。
だせぇ奴らだ、自分がやっていたことが自分に返ってくるとはな。
ざまぁねぇな。
なのに、なぜ余の心はモヤモヤは晴れないのだ。
もう余には失うものは無くなったし、あいつらが不幸な目に遭っているというのになぜ余の心にぽっかりと穴が開いているのだ。
ピンポーン
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます