2年生編 第57話
やばい!余の変身が解けていく。
「ナイトメアの正体が宇野章大だったとはなぁ!」
メッカは知っているはずなのにわざとらしく大声で魔法少女どもに聞こえるように叫ぶ。
そうかそうか、そうだったのか。
てっきり余は覚悟を決めたと思っていたが心のどこかで引きずっていたのかもしれないな。
だから余は魔法を出せなかったと言うのか。
「嘘でしょ……、ナイトメアが宇野くん」
「宇野……、どうして」
「宇野さん」
「ナイトメア様があいつで、あいつがナイトメア様…、あぁ〜嘘と言ってぇ」
「……」
桜井莉緒、高宮千沙、九重菫は余がナイトメアだったことにショックを受けている。
金髪は大好きなナイトメアが余だったことに分かりやすくショックを受けている。
こいつらはまだ分かりやすいから良いが、クソ陰キャはただただ黙って興味無さそうにこっちを見ているから怖い。
「ハハハハ!いい格好になったじゃないか!」
「うるせぇ、殺すなら早く殺せよ」
変身が解けてしまったから防御力があまり高くない。
だからメッカにとって余を殺す絶好のチャンスである。
悔いがないと言ったら嘘になるが、ここで死ぬのも悪くはないな。
「…いや、やめておこう。今のお前に怖さを感じないし、完全復活をすれば俺様に怖いものはない」
やりやがった、ここで殺されないのは計算違いだ。
余がナイトメアとバレたのならもう余はこの街にはいられなくなるし、生きづらくなる。
「じゃあな、次会うときは俺様が完全復活をした時だ」
「おい!待て!」
余はせめてここで殺して欲しかったからメッカを呼び止めるが、メッカは帰って行ってしまった。
「どうしてなの?宇野くん」
桜井莉緒が余に近づいてきて話しかけてくる。
「……」
だが、余からは特にこいつらに言ってやることはない。
「宇野…、何か話してよ」
お前に話すことなんかない。
「どうして黙ってるんですか?」
だから話すことがないのだ。
「こいつがナイトメア様…」
お前はいつまでショックを受けているのだ。
「……」
お前は言うことが無いのかよ。
「…分かっただろ。余はずっとお前らを騙していたのだ。そして、これからはお前らの敵だからな。次会う時はお前らを殺しにかかるから覚悟しておけ」
そう言って余はこの場をすぐに離れる。
後ろから叫び声が聞こえるが余は振り返らない。
振り返ってしまったらあいつらは余を許してくれるだろうが、そんなものは違う。
あいつら泣いていたなぁ。
だが、もう戻れない。
そんなこととっくに決まっていたことなのに。
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