2年生編 第56話

 王になってやる。


 今までこのために余は頑張ってきたのだが、今までにないほどに思っている。


 この気持ちが何なのか、今の余では何のことか全く分からないが、王になってしまえば関係ないだろう。


 さぁあいつらを倒しに行くとするか。


「ちょっと待つポヨ!」


 魔法少女どもを倒しに行こうとしたら起きた妖精に呼び止められた。


「何だよ」


「朝ごはんを食べていくポヨ!」


 そういえばこいつは朝ごはんを作ってくれていたな。


「悪いがお前が食べておいてくれ」


「ダメポヨ!一緒に食べるポヨ!」


 妖精は余の服の裾を引っ張り余を引き止める。


「…そうだな。朝ごはんを食べないと力が出ないよな」


「そうポヨ!温め直してくるポヨ!」


 そう言って妖精は嬉しそうに朝ごはんを温めに行った。


「どうしたポヨ?」


「何がだ」


「昨日からずっと元気が無かったポヨ」


 まぁ流石に気付かれているよな。


「何もなかった……、は無理があるよな。だが、話すことは出来ない」


「宇野ならそう言うと思ったポヨ。それは別に良いポヨ。それは僕の役目じゃないポヨ」


 僕の役目じゃない?こいつは一体何を言っているのだ。


「食べたら置いておくポヨ」


「悪いな」


「別に良いポヨ」


「じゃあ余は行ってくるからな」


 余は椅子から立ち上がり、魔法少女どもを倒しに向かう。


「気をつけてポヨ」


 お前は知らないが余は魔法少女を倒しにいくのだぞ、その発言はちょっとマズいな。


 

 ***



 ナイトメアに変身したのだが、今までにない違和感を覚える。


 1年以上変身してきたのだが、こんなにもしっかりこないのは初めてだ。


「悪いが今日は勝たせてもらうぞ」


 余の目の前にいるのはいつもの魔法少女どもだ。


「何回負ければ気が済むの?」


「早く終わらせよう」


「皆さん頑張っていきましょう」


「はぁ〜ナイトメア様ぁ〜」


「………」


 こいつらは変わらないな。


 金髪は相変わらず気持ちが悪いな。


 悪いが今日は今までとは気持ちが違うからな。


 

 ピリッ



 このタイミングでかよ。


「よ〜久しぶりだなぁ」


 メッカが余たちの目の前に現れた。


「何の用だ」


「おいおい、そんなに睨むなよ。今日は忠告しに来ただけだからなぁ」


 忠告?


「あと少しで俺様が完全復活するからその忠告をしに来ただけだ」


「完全復活したら何だと言うのだ」


「完全復活したら今までの俺様とは比べものにならないからな。完全復活する前にお前らに思い出作りでもしておけよ、と言いに来たのだ」


 そんなにやばいものなのか?完全復活は。


 だが、こいつは馬鹿だな。


「だったら完全復活する前にお前を倒せば良いだけの話だろ!」


 余はメッカに近づき、攻撃を仕掛けに行く。




 が、なぜか余は魔法を出すことが出来なかった。


「どうした?攻撃しないのか?そうか、攻撃出来ないのか。その今の状態ではな!」


「ぐっ!」


 余はメッカに向かって行ったが、何も出来ずにメッカの攻撃を受けてしまう。


 何だよ!余も魔法を使う時に精神状態が乱れていたら使えないのかよ!


 だから変身した時に違和感を感じたのか。


「おいおい大丈夫なのか?ナイトメア?いや、」


 何だよこれ。


 メッカの攻撃を受けて余の変身が解けていく。




「宇野章大」

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