2年生編 第55話
「ああああああああああああ」
なぜだ、なぜ余はこんなに叫んでいるのかが分からない。
黙って逃げ出せば良かったが、きっと余の何かが弾けてしまったのだろう。
なぜ余はこんなにもモヤモヤしてしまっているのだ。
モヤモヤなんかするはずがないだろう、ムカつくのが普通だろ。
なぜ余はあの場から逃げ出してしまったのだ。
あの場で余はあいつらに許してやらないって言うのが正解なのだが、なぜ余はあの場で逃げ出してしまったのだ。
今余は早く1人になりたい。
早く1人になって、この感情が何なのかを知りたい。
ガチャ
「ただいまポヨ〜。いや〜相変わらず天気が良いポヨね〜。すぐに洗濯物が乾いたポヨ〜」
妖精からすごくどうでも良いことを言われたが、そんなことは余に構ってられない。
「悪い。1人にしてくれ」
かなり走ったから少しは冷静とはいかないが、話せれることができるくらいにはなった。
「どうしたポヨ〜?宇野らしくないポヨ〜」
余の雰囲気をいつもと違う事を感じ取った妖精は心配で声をかけてきた。
「うるさい。今は1人にしてくれ」
「ポョ〜」
最低だ。
余がモヤモヤしていたからって妖精にぶつけるなんて最低のことだ。
ダメだ。
今まで余は自分を嫌いになったことが無いというのに、初めて嫌いになりそうだ。
今まで余のことを好きになってくれる奴なんていなかったから、自分が自分を好きになることで何とか頑張ってこれたのだ。
なのに、今余は自分を嫌いになりそうだからもう余の心はもたないかもしれない。
こんな時に普通の奴らはどうしているのだろうか。
「あの〜、晩御飯はどうしますポヨ〜?」
もう晩御飯を食べる時間になってしまったのか。
妖精が余にすごく気を遣ってよそよそしく晩御飯の有無を聞いてくる。
普段はこいつから晩御飯を作ることなんかないし、敬語も使うことなかったからこいつにしては珍しいことをしている。
「悪い。今日はいらない」
「分かったポヨ〜。置いておくからいつでも食べてポヨ〜」
普段から気を遣わないこいつに気を遣わせてしまう余が嫌いだ。
これから余は一体何がしたいのだ。
***
結局一晩考えたところで答えなんか出るはずもなく、ただ眠れない夜が続いてしまった。
幸いなことに今日は学校がない日だから眠れなくても大丈夫だ。
まぁ結局は学校で寝てしまうのだから関係ないのだかな。
じっとして何も思い浮かばなかったら何か行動した方が良いのかもしれない。
良い匂いがする。
どうやら朝ごはんを作ってくれていたらしいが、余を待っている途中で寝てしまったのだろう。
こいつには悪い事をしてしまったな。
もう余は決めた。
今日、絶対に魔法少女どもを倒して王になってやる。
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