2年生編 第42話
くきの?ん〜?どこかで聞いたような聞いたことがないような。
いつ聞いた?朝?昼?夜?学校?家?テレビ?思い出せない。
確かこいつ暗いお姉ちゃんがいるとか言っていたような気がしてきた。
もしかしたらこいつじゃないかもしれないし、明るかったかもしれないし、お兄ちゃんだったかもしれない。
まぁいいか、時も過ぎればいつかは思いだすだろう。
苗字なんか誰でもあるからそんなこともあるか。
「くきの?もしかしてお姉ちゃん柊野葵?」
金髪はどうやらくきのについて何か知っているようで、クソガキに丁寧に聞く。
ちゃんと丁寧に聞けたな、成長してるなぁ。
いや、その前にくきのあおい?
絶対に聞いたことがあるぞ、もう喉から出そうにはなっている。
「うん!おねえちゃんあおい!」
あ、あおいで合っているのか。
「お前知り合いなのか?」
「知り合いって、あんた…」
なぜお前に呆れられた顔をされなければならないのだ。
「あんた同じ委員長でしょ」
同じ委員長?
あ、あーーーー!
あいつ柊野葵だったのか!
うえぇ、こいつクソ陰キャの妹なのか…。
こんな偶然あるのか?どっちともクソって付けていたが、こんな繋がりがあるとはな。
にしても似てないな、姉妹でこんな差が生まれてしまうとはな。
「お前はよく知ってたな」
まぁこいつは同じ魔法少女だから知っていたのだろう。
だからあえて聞いてやることにした。
「え、えー、お、同じクラスメイトだから知ってるのは当然じゃない」
明らかに狼狽えているなぁ。
「そうか?前はほとんど知らなかったじゃないか」
「そ、そんなことないわよ、流石にクラスメイトの名前くらい分かるわよ」
こいつ必死で隠そうとしているのが面白いな。
残念だがもう余はお前らが魔法少女だということをすでに知っている。
「そ、そんなことより早くポスター貼りに行くわよ!」
あ、こいつ話題変えやがった。
「いや、お前はクラスメイトの名前を知っているはずがないな。絶対に何かで関わりがあっただろ」
絶対に話題を変えさせるわけにはいかない。
こいつがなぜ知っているのかは知っているが、もうちょっとだけこいつで遊びたい。
「……」
あ、とうとうこいつ無視しやがった。
「なぁ〜、おい。お前が知ってるってなんか怪しいなぁ」
とことんこいつを追い詰めてやる。
「……」
「おいおい」
「……」
ダッ!
金髪はその遅い脚で逃げていった。
ははは、追い詰められて逃げていきやがった。
「変な奴だな」
「うん!」
小さい子供にも言われているではないか。
***
「遅いじゃない」
「お前が先に走って行っただけではないか」
脚も遅いし、スタミナも無いからすぐに追いついたけどな。
「お前はずっと脚が遅いな」
「うるさい!」
顔を真っ赤にしやがって、すっごい怒ってるな。
「ねぇ、このお兄ちゃんの何が良いの?」
金髪がクソガキに失礼なことを聞く。
余が目の前にいるのにお構いなしに聞くなこいつは。
「う〜ん。せかいでいちばんかっこいい!」
ほ〜、クソガキのくせに分かっているではないか。
「いいえ。世界で一番かっこいいのはナイトメア様よ」
何こいつは子供相手に張り合っているのだ。
「ちがう!おにいちゃんのほうがかっこいい!」
「ナイトメア様の方がかっこいいに決まってるわ!」
「おにいちゃん!」
「ナイトメア様!」
いや、どっちも余だがな。
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