2年生編 第43話
どっち余なのだからその喧嘩は意味がないからな。
その喧嘩は、私はりんごが好き、私はアップルが好き、くらい無意味な喧嘩だからな。
どっちも同じなのに喧嘩するなよ。
しかもクソガキは余が抱きかかえているから耳元でギャーギャー言っているから耳が痛い。
「お前はもう少し大人になれ」
余は金髪の頭にチョップをする。
「イタッ!もう無理!私の頭が凹むわよ!」
金髪は自分の涙目になりながら頭を抱える。
「ちょっとは手加減しなさいよ!」
余がお前相手に本気を出すわけがないだろ、本当出したらお前なんか木っ端微塵だからな。
「あ!ちょっと凹んでるじゃない!」
金髪は自分の頭をサワサワと触りながら余に怒りをぶつけてくる。
「凹むわけないだろ」
「凹んだわよ!」
「はぁ〜、ちょっと触らせろ」
この嘘つき金髪無駄プライドが。
余は金髪の頭を触って本当に凹んでいるのかを確かめる。
「ん〜?これは凹んでいるのか?」
もしかしてこれは凹んでいるのではなく腫れているのか?
余がチョップをし過ぎてたんこぶが出来てしまったのか?
やばい、これがバレてしまったらこいつはグチグチ文句を言うに決まっている。
「まぁだがあれだな、お前って髪サラサラだな」
とりあえず話題を逸らすことにした。
「髪の手入れとか大変だろ?」
「べ、別に大変じゃないわよ。というか、いつまで触ってるのよ!」
「ずっと触っていても問題はないだろ」
「あんたが決めるんじゃないわよ!」
ブンブンッと頭を振り、余の手を払う。
「こんなことしてる場合じゃないわ!早くポスター貼りに行くわよ」
忘れるところだった、余たちはポスター貼りに来たのだった。
***
「あれ?宇野。子供産んだのか?」
「これは余の子供ではない」
商店街に来たのだが、余がクソガキを抱えているせいで余の子供だと揶揄っているのか、それとも本当に勘違いしているのか。
「おーい!みんなー!宇野が子供連れて来たぞー!」
「馬鹿。呼ぶな」
呼んだら商店街の連中らが来るだろ。
それからは本当に面倒くさかった。
余はただポスターを貼りに来ただけなのになぜこんなことになってしまうのだ。
あいつら絶対に分かって揶揄ってきやがった。
地味に金髪の方も余の弟子だから人気があり、商店街の連中らに絡まれていた。
結構動揺していて見ていて面白かった。
ポスターも貼ったことだし、学校に帰るとするか。
「美紀!」
ん?
声のする方向を見るとクソガキの母親が走ってこっちに向かっていた。
「美紀!勝手に離れちゃダメでしょ!」
「ほら、お迎えが来たぞ」
やっと解放される。
余は無理やりクソガキを引き剥がし、母親に引き渡す。
「すみません。面倒見てもらっちゃって」
「別に良い」
「本当に何度も何度もすみません」
「余は気にしていない」
「じゃあねぇ〜」
クソガキはブンブンッと手を振る。
前は余と離れるのをあんな嫌がっていたのに、子供は成長が早いなぁ。
横で手を振るプライド女もあれくらい成長してほしいものだ。
さて、今度こそ学校へ帰るか。
***
「ねぇ、ちゃんとやってよ!」
「そっちこそちゃんとやれよ!」
「いつになったら終わるんだよ!」
「手を動かせよ!」
何、この空気…。
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