2年生編 第41話

「おにいちゃーん!」


 なんか聞き覚えのある声が近づいてきたような気がするのだが、気のせいだろうか?


 頼む気のせいであってくれ!じゃなければまた面倒なことが増えてしまう!


「おにいちゃーん!」


 あー近づいてくる。


 金髪は実は男でこの子供は金髪に向かって行ってると言う可能性は無いのだろうか、無いな。


「何かが近づいてきてるような気がするんだけど知り合いなの?」


 金髪も気になったらしく余に知り合いかを聞いてくる。


 ということは本当に金髪の知り合いという可能性が消えてしまった。


「知り合いっちゃ知り合い。だが、知り合いじゃないかもしれない」


「なにそれ」


 余も分からないが、この表現が1番合っているような気がする。


「おにいちゃーん!」


 もう顔がはっきりと見えたから分かった、あのクソガキだ。


 ドーンッ!


 余の腹に向かって突進してきた。


「うぐっ」


 ガキとは言え思いきり突進されたら痛いものだな。


 余の体は硬いから吸収してやらないとあっちが怪我をする、だから痛みを引き換えに吸収力を優先してやった。


「いきなり突っ込んでくるな」


 余に引っ付いているクソガキを引き剥がす。


「おにいちゃーんだー!」


「じたばたするな」


 引き剥がしたのにまた余に突っ込もうとするから面倒だが、抱きかかえることにした。


「おにいちゃんはどうしてここにいるの?」


「ポスターを貼りに来たのだ」


「ふーん」


 別に興味ないのかよ。


「何なのこの子供は?」


 そうだよな、金髪はこいつに会うのは初めてか。


「こいつはたまに会うガキだ」


「たまに会うガキって何なのよ」


「知らん」


「適当すぎでしょ…」


 こいつとの関係性を言葉にするのは難しいからな。


「お前の母親は?」


 こいつの母親がいない。


 こいつだけで外に出すわけがないからどこかに母親がいるはずだ。


「いなーい。まいご」


 クソガキは首を横にブンブン振る。


「迷子はお前だ」


 なぜお前が探す側なのだ、お前は探される側だ。


「どうするの?その迷子」


「どうするって…」


 どうしようか、置いていってやろうかな。


 だが、こいつを置いていくとまず泣く。


 そして、余を追いかけてくる。


 そして、最初の状況に戻ると思う。


 余たちといた方がこいつの母親も安心するだろうから一緒に連れて行くとするか。


「こいつも一緒に連れていく」


「ちゃんと面倒見れるの?」


「黙れ」


「そこまで言わなくても良いじゃない」


 こいつに何か言われるが嫌すぎるのだ。


「とりあえずこいつは連れて行くからな。お前の方こそこいつと仲良くしろよ。喧嘩なんかするなよ」


「私を子供だと思ってるの?喧嘩なんかするわけないでしょ!」


 こいつは見た目だけ大人になっていったからな、中身はまだまだ子供だから。


「あなた名前は?」


 聞き方下手くそかよ。


 もっと言い方があるだろ、あなたって呼ぶなよ。


「ん〜〜」


 クソガキは余の肩に顔を埋める。


「もうちょっと優しく聞いてやれよ、怖がってるじゃねぇか」


「は?あんたの方が怖いのに何で私に怖がるのよ」


「顔だろ顔」


「顔なんかあんたが1番怖いでしょ!」


「今この現状を見てみろ、……な」


「ムカつく」


 ふんっ、ざまぁねぇな。


「お名前はなんて言うの?」


 金髪は再トライする。


「みき。くきのみき」


 へーこいつに苗字あるのか。


 だが、こいつの苗字どこかで聞いたことあるような。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る