2年生編 第39話

「ちょっ、離してよ!」


 ここまで来たら離してやっても良いか。


「ほら」


 余はパッと引っ張っていた腕を離す。


「何で私が外に連れ出されないといけないのよ!」


「お前がちゃんと仕事をしないからだろ!お前がちゃんと仕事をやっていたらこんなことにならなかったのだ!」


 余だってこんなことやりたくてやっているわけではないのだ。


「私があんな仕事やるわけないでしょ」


「お前はボランティアで何を学んだのだ……」


 余はこいつの母親に今は成長しているから見守っていてくれ、みたいなことを言ってしまったではないか。


 何が成長だ、また元通りになったのかもしれないな。


「とりあえず商店街に行くぞ」


「商店街に行って何をするのよ」


「商店街に行ってポスターを貼りに行くんだよ」


「何でポスターを貼りに行かないといけないのよ。クラス劇には関係ないでしょ」


「よくは知らないがみんな楽しみにしているからではないのか?だから知らせるために貼るのではないか?」


 去年あいつらがどう言っていたかは忘れてしまったし、言ってなかったかもしれない。


「なぜお前は仕事をしたくないのだ」


「私に相応しくないのよ。もっと良いやつよこしなさいよ」


 少しは変わったと思っていたが余の勘違いだったか。


「じゃあお前に相応しい仕事とは何なのだ?」


「それは、え〜と…」


 こいつ…。


「無いくせにいちゃもんをつけるな!」


 こいつはただ仕事をしたくないクソやろうではないか。


 ボランティアをやっていって後半になるにつれ、素直で頑張ろうという気持ちが見えて、成長していのだが、こうなるとはな。


 余はムカついたから思わず金髪の頭にチョップをする。


「痛っ!何でチョップするのよ!」


「お前がムカつくからだ」


「ムカつくだけでチョップしないでよ!暴力反対!」


「お前みたいな奴にはチョップしないと分からないからな」


 余はまだムカついていたからもう一度チョップをする。


「あ!もうやめてよ!それ結構痛いんだから!」


「いや、やめないな。お前は余の痛みを知れ」


「私はあんたをチョップした覚えないわよ」


「うるさい。お前はそれ以上のことをしてしまったのだ」


 あの時のあいつはもう戻ってこないのか。


「私もあんたにチョップさせなさいよ!」


「なぜ余がお前にチョップされないといけないのだ」


「私もやられっぱなしは嫌なのよ!」


「お前はチョップされても良い人間だが、余はチョップしてはいけない存在なのだ」


「そんな存在はナイトメア様しかいないわよ!」


 金髪は余にチョップを仕掛けてくる。


 だが、こんな運動神経皆無女のチョップなど当たるわけがない。


「避けるんじゃないわよ」


「ははは、そんなへなちょこなチョップ余に当たるわけないだろ」


「待ちなさい!」


「待つわけがないだろ」


 余たちは廊下を走りながらチョップの当て合いをする。



「うるさい!職員室の前で遊ぶな!あと廊下は走るな!」



 怒られてしまった。


 

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