2年生編 第38話

 やっと帰ってくれたよ。


 どんだけめんどくせぇ女なんだよ、あいつのせいで飯の味が途中でしなくなったからな。


 まぁ作ったのはあいつなのだがな。


 あいつは好きな奴がいるくせに余の家に来やがってどういうつもりなのだ?あいつの方こそ浮気みたいなことをしていないか?


 なのに余が浮気したみたいな雰囲気を出しやがってあいつは一体どういうつもりなのだ?


 あいつの目的は何なのだ?


「危なかったポヨ〜」


「何だよいたのかよ」


「透明化を使っていたポヨ〜」


 透明化を使っていたのか、だからマナを感じると思ったのだ。


「じゃあ最初からいたのか?」


「宇野くんが帰ってきたと思ったら莉緒が来てビックリしたポヨ〜」


「本当の最初からじゃねぇか」


 こいつは普段家にいるのか?の割にはフラフラしているんだよなぁ。


「本当に面倒な奴らを魔法少女にしやがって」


「僕が決めたわけじゃないポヨ〜」


「じゃあ本当に女神が適当に魔法少女を決めたのか?」


「そんなすごい適当に、というわけではないと思うポヨ〜。ある程度は考えていると思うポヨ〜」


 まぁ流石にそうだよな。


「お前って男なのか?それとも女なのか?オス、メスなのか?」


 ちょっと気になっていたから聞いてみた。


「僕にそういう性別はないポヨ〜」


「へぇ〜」


 本当に珍しい生き物だな。


「腹減ってるか?」


「減ったポヨ〜」


「今日は余が作ってやるよ」


「やったポヨ〜」


 今日くらいは無償で作ってやるとするか。



 ***



 今日からクラス劇の準備期間が始まった。


 去年のクラス劇の時は余はポスター貼り?になったからな、あれのせいでクソガキに出会ってしまったからな。


 だから今年こそは普通のクラス劇の準備をしてやるからな、今回も変なことはしないからな。


 絶対に大人しくやり過ごしてやる!


 


 よしよし、今のところは普通に仕事ができている。


 流石は余だ、何でも出来るな。


「おい、宇野」


「ん?そっちも手伝って欲しいのか?」


「違う。あいつをどうにかしろ!」


 あいつ?


「嫌よ!何で私がそんなことしなくちゃならないのよ!」


 金髪かよ!


「私はそんな地味な仕事をするわけないでしょ!」


 何だよこいつ黙って仕事しろよ!


「ちょっとあいつを連れてポスター貼りに行ってきてくれないか?」


「余が!?」


「宇野が」


「いやいや、待て!なぜ余なのだ?」


「お前も去年はあんな感じだったからな」


「余はあそこまで酷くなかったぞ」


「去年の宇野を見てる感じだよ」


 クラスの奴らがうんうんと頷いている。


 何だよこいつら。


「ポスター貼りだけは嫌だからこうやって真面目にやっているだろ!」


「去年の桜井と高宮と九重も同じ気持ちだっただろうな」


 うっ


「ほら、行ってこい」


 ちっ、今年は余が連れていく側かよ。


「おい、金髪!行くぞ!」


「え、ちょっ、どこに行くのよ!引っ張らないでよ」


 結局こうなる運命なのかよ。

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