2年生編 第33話
怖っ、こいつ。
何だよ急に怒り出しやがって。
余が何をしたと言うのだ。
「もう一度聞きます。な・ん・で大日向さんだけ下の名前で呼んでいるんですか?」
怒っている、こいつが怒っているところなんて初めて見た。
やっぱりこいつが何で怒っているのだ?思い当たることがない。
下の名前を呼んだだけでこいつが怒るはずがない。
その前の会話で余が何かを言って怒ったのか?
「別に呼びやすい名前をしていたからだ」
別に凛はどちらでも良いのだ、大日向って言いにくいのだ。
皆には分からないだろうが大日向って言いにくいからな。
「私だって菫です、呼びやすくないですか?」
こいつは本当に何でそんなにも怒っているのだ?まさか本当に下の名前だけでこんなにも怒っているのか?
「難しいところだな、これは余にしか分からないのだが、呼びやすいのと呼びにくいものがあるのだ」
「いやいや、文字数が増えるだけじゃないですか。少ない方が良くないですか?」
「違うんだな、これが」
これだから素人は困るのだよ。
「良く聞けよ苗字というのは「もう良いです」」
最後まで聞いてくれても良いじゃないか。
「それよりお前は何をそんなにも怒っているのだ?」
結局はこれだ、怒っている理由を知らないと改善が出来ないではないか。
「大日向さんだけ下の名前で呼んでいるからです!」
こいつマジか。
「それだけのことかよ」
「それだけのことではありません!私にとっては重要なことなんです!」
「何だよ、嫉妬しているのか?別にお前が下とかないからな。それに凛だぞ?あいつは尊敬できるものなんか何もないからな」
まさかあんな奴に嫉妬するなんてな、九重菫の方が十分すごいからな。
「また凛って呼びましたね。宇野さんは大日向さんのことが好きなんですか?」
「なぜそういうことになるのだ!違うに決まっているだろ!」
「じゃあ何で下の名前で呼んでいるんですか?」
「だから、呼びやすいからと言っているだろ」
こいつは余が嘘をついていると思っているか?
「だったら選んでください」
「何をだ?」
何だよ急に、ここで謝るか、死ぬかを選べば良いのか?
「これから大日向さんを下の名前で呼ばないか、私の名前を下の名前で呼ぶかを」
まぁ余が凛って呼んでいたのは金髪って呼んだら誰か分からないだろうと思って呼んでいただけだからな。
もう金髪=凛ってことになるから、金髪に呼び方を戻そう。
「分かった、じゃあこれからは金髪って呼ぶわ」
「却下です。私の名前を下の名前で呼んでください」
え〜
最初から一択じゃん。
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