2年生編 第30話
流石に優しくしすぎなのか?
別に優しくしすぎたらこいつの成長に繋がらないとかそういうのではない。
余が優しくしすぎるのが不自然というか、余の性格に合わないのだ、余は王になる存在だぞ?いらない奴は切り捨てていかないとな。
王になる奴とはそういう者だけがなれるのだ、優しさだけではなれないのだ。
だから今回の劇が終わったらこのクソ陰キャは切り捨てるつもりだ。
余が優しくしているのは今回だけだ、今回だけが特別なのだ。
ふぅーふぅーと鼻息を漏らしているクソ陰キャを見ると本当に頑張ろうとしているのだな。
「落ち着け、お前が頑張ろうとしているのは分かったから一旦落ち着け」
「ふぅ〜…ふぅ〜…ふぅ〜、お、お、落ち着きました」
本当か?まだ肩で息しているのが分かる。
「あ、あ、あの。ご、ご、ごめんなさい」
「ん?何がだ?」
興奮したり、急にテンション下がって謝ったり、大変な奴だな。
「わ、わ、私の喋り方おかしいですよね?わ、わ、私も治そうとしているんですけど、な、な、中々治らなくて。へ、へ、変ですよね私み、みんな普通なのに」
「そんなもの無理して治すものではないだろう、お前が治すのではなくてこっちがちゃんと聞けば良いだけの話だ」
余はかなり精神論派だ、余はかなりのことは根性があれば何でも出来ると思っているが、病気とか怪我を根性があれば治ると思っている奴はバカだと思っている。
「それに自分のことだけを変だと思っているのは随分と世界が狭いな。余から言わせてみればお前なんか暗いだけだ」
余もまだ世界を見たわけではないが、余の周りは変な奴だらけだからな、こいつなんかまだマシだ。
こいつは自分と数人としか比べていないからな、世界が狭い。
まぁそもそも比べるものではないがな。
「……い」
「ん?何か言ったか?」
「………いい」
「ん?聞こえないぞ?」
「かっこいい」
「え」
「か、か、かっこいいです!」
かっこよかったか?
「し、し、ししょーって呼んでいいですか?」
「師匠?」
「ぜ、ぜ、ぜひ私のししょーになってください!」
ごめん。やっぱり変な奴やつだったわ。
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