2年生編 第29話

 もう帰りたい…。


 このクソ陰キャといると余もクソ陰キャになってしまうわ!


 何をそんなに挙動不審になる必要があるのだ、かなり余だって笑顔で接してやっているというのに、余がこんなことやるの珍しいからな!


 どうしよう、こいつと上手くやっていける自信がない。


「ど、ど、ど、ど、ど、どんな劇がい、い、い、良いのかな?」


 やばい、少し余が怖い感じが出たのか分からないが、少し陰キャ感が増してしまった。


 これだったらいつまで経っても話し合いが終わらないからな、余もなるべく怖い雰囲気を出さないようにする。


 この劇が終わったら全部無視してやる。


「余は別に何でも良いがロミオとジュリエット以外かな」


「き、き、去年と一緒になっちゃうもんね」


 ほらな、余がちょっと優しい雰囲気を出すとこいつは話しやすそうにする。


 余は普段は語尾にかなって付けないからな、こんなこと普段は絶対にしないからな、今回だけだからな。


「お前の去年のクラス劇は何をやったのだ?」


 余のクラスはロミオとジュリエットをやったのはこいつは知っているが、余がこいつの去年の劇を知らないではないか。


「し、し、し、シンデレラだと思います」


「だと思う?なぜ疑問形なのだ」


 当事者だろ?なぜ自分のクラスのことが分からないのだ。


「わ、わ、わ、私参加してないんです」


「ん?なぜだ?同じクラスなのだろ?参加しているはずだろ?」


「わ、わ、わ、わ、私が何かに関わるとふ、ふ、ふ不幸になるから」


「じゃあなぜ今回は参加しようとしているのだ?」


「こ、こ、こ、今回で克服しようと思って…」

 

 金髪しかり、こいつしかり、なぜ今年なのだ!来年頑張れよ。


「じゃあ今回の劇はシンデレラをやるか。去年出来なかったのだろう?リベンジしよう」


「へ?」


「今年はちゃんとお前が参加して、ちゃんと成功させよう」


 ダンッ!


 クソ陰キャはいきなり席から立ち上がった。


 びっくりした、驚かすなよ。


「わ、わ、わ、私が、が、が、頑張ります!」


「ああ、頑張ろうな」




 ちょっと優しくしすぎか?

 


 

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