2年生編 第16話
これでやっと余の優雅な2年生ライフがスタートする。
あの調子だと一年以上はかかると思うから、言える頃にはもうクラスが違うのだろう。
そして、3年生になったら余はきっと地球を征服しているのだろう。
だから、頼むから2年生の間だけは大人しくしておいてくるれよ。
下手に頑張らなくて良いからな、もう余はお前と関わりたくないからな。
余も薄々忘れてしまうのだが、そもそも余とお前は敵同士だからあまり関わってはいけないからな。
そういうことだから余はもう一度ナイトメアという自覚を持たないといけない。
***
あれから次の日が経ち、やっと余の優雅な2年生ライフがスタートする。
まず余は寝ないといけないから机に突っ伏す。
これだよ、これ。
余が求めていた生活は変な奴に絡まれずにこうやって何もない大人しい生活が欲しかったのだ。
自分のことを母親だと思って余に世話を焼く奴に絡まれずに、話したらいつも喧嘩になってしまうと思ったら急に話さなくなった奴に絡まれずに、自分のことを妹だと思って余に甘えてくる奴に絡まれずにいれるのだ。
やっとこの時がきたのだ、この時が来るのを心の底から待っていた。
さて、これからたっぷり満喫させてもらうか。
ブツブツブツブツブツブツブツブツブツ
せっかく満喫しようとしていたのだが、後ろの席からブツブツ独り言がうるさい。
後ろの席ということは金髪だ。
何だ?もう友達が出来ないと分かってしまって病んでしまったのか?
それよりこいつは何をブツブツ言っているのだ?
「あ、あ、あ、あ、あ、あ、り、り、り、り、り、が、が、が、が、が、と、と、と、と、と、う、う、う、う、う。ペンを拾ってくれてありがとう」
いや、頑張れるのかよ…。
ふざけるなよ、お前はもっと口だけのクソ人間だと思っていたのだがな。
「ご、ご、ご、ご、ご、ご、め、め、め、め、め、ん、ん、ん、ん、ん。ペンを落としてごめん」
それにしてもこんなことを今練習しているのが信じられないな。
こんなことくらい練習せずに出来て欲しいものだ。
「おい」
余は机に突っ伏て寝ていたが、体を起こし、後ろの席に振り返る。
「な、何よ」
「今なら出来るのではないか?」
「何の話よ」
「後ろからブツブツ言っていただろ、聞こえていたぞ。今なら出来るのではないか?」
「き、聞こえてたの?何勝手に聞いてるのよ!」
「聞きたくて聞いたわけではない、お前がうるさいからだ。そんなことより今なら言えるのではないか?ほら」
「そ、そうね。ふぅー、ペンを拾ってくれて、あ、あ、あ、あ…、次はもっと早く拾いなさい」
ダメだこいつ。
「まぁ次もあるからな」
「そ、そうね」
あまりにも残念過ぎたからなぜか励ましてしまった。
だが、この調子だとすぐに終わってしまうな。
まぁ早く終わるなら終わってくれた方がありがたい。
こいつに友達が出来ればもう関わらなくて済むからな。
裏技を使えば早くてその日に友達が出来るからな。
頼むからさっさと言えるようになるか、諦めてくれ。
〜3週間後〜
「ありがとう、ありがとう、ありがとう。ペンを拾ってくれてありがとう。ごめん、ごめん、ごめん、ペンを落としてごめん」
「まぁ良いだろ」
「本当に?やったー!った!った!った!」
「うんうん」
いや、遅すぎるだろ!
なぜこんなことで3週間もかかるのだ!
その間も余はあのブツブツ言っているのを聞いていたのだからな。
「で、ほら。裏技教えなさいよ」
生意気な口調は相変わらずだな。
「分かったよ、じゃあ行くぞ」
「どこに何をやりにいくのよ」
「ボランティアをしに行くんだよ」
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