2年生編 第17話

 なるべくこれは使いたくなかったのだ、これで友達が出来てしまったら余と似ていると言っているようではないか。


 友達とは言わないが、余はボランティアのせいで色んな奴らに話しかけられ始めたからな。


「ボランティアって何よ」


「言葉の意味だが?」


 どうやら金髪は納得いっていないようだ。


「ふざけるんじゃないわよ!私は友達が欲しいって言ってるのよ、ボランティアをしたいとは言ってないわよ」


「お前はもう正統法では友達が出来ないから、ボランティアをして恩を売って友達を作っていくのだ」


 こっちから話しかけてコミュニケーションをとっていく方法だとこいつの性格が邪魔するのが目に見えるからな。


 だから、ボランティアだとまだこいつの性格が出にくいし、もしかしたらこいつの性格が少し変わるかもしれない。


「ボランティアをして本当に友達が出来るんでしょうね?」


「ボランティアが今お前に友達が出来る可能性が1番高い」


 ここで出来ると言い切らないのが今後トラブルが起こらないようにする秘訣だ。


 これでこいつに友達が出来なくても文句は言わせない。


「じゃあ信じるからね」


「ああ」


「で、いつからは始まるの?」


「今からだが?」


「今から!」


「当たり前だろ!こっちだって暇じゃないからな!」


 さっさと終わらせてこいつとの会う日を極力減らしたいからな。


 余はこいつと会う日なんて無ければ無いほど良いのだからな。


「本当に今から行くの?」


「当たり前だろ!さっさと行くぞ」


 そして余たちはボランティアをするべく外に出た。


 ***


 ということでいつもの商店街へとやって来た。


「お、宇野じゃないか」


「ボランティアをしに来た、何か手伝えることはあるか?」


「お〜それは助かる。で、後ろの娘は誰なんだ?」


 そうだ、こいつの説明はどうすれば良いか考えていなかった。


 友達?ではないな、ただの知り合い?だったらここにいる理由がないからな。


「あーこいつは余の弟子だ」


「ちょっと待ちなさい!弟子って何よ!」


「仕方ないだろ、これしかしっくりくる理由がなかったのだから」


「あんたの弟子なんか嫌よ!」


「お前は何でもかんでもイヤイヤ言うな!お前は少し我慢することを覚えろ!」


「う〜」


「と言うことで弟子だ」


 無事にこいつは余の弟子となった。


 友達や知り合いよりかは立場が下だから余的には満足だ。


「ま、まぁ俺は何でも良いんだけどな。とりあえずそこの荷物を運んでくれるか?」


「はいよ」


 荷物を運ぶために荷物のところまで向かう。


「ちょっと」


「ん?何だ?」


 まだ弟子って言ったことを怒っているのか?


「これ運ぶの?」


「ああ、そうだが?」


「無償で?」


「当たり前だろ!ボランティアだぞ!」


「バカなの?こんなの無償で働いて良い量じゃないわよ!」


 まぁ確かに人間にしてみたらこれはかなり多い量とは言えるな。


「いい、いい、これは余が運ぶ量だからな、お前は少しで良いから」


「本当に運べるの?」


「お前はゆっくり少しずつ運べよ。本当にゆっくりで良いからな」


 余計に仕事を増やされたくないから一応釘をさしておく。


「よっと」


 余は自分の量の荷物を運ぶ。


「うそっ」


「おー相変わらずすごいねぇ。本当に力持ちだな」


 これくらいで驚かれても困る。


「私も!…あれ?」


「どうした?」


「全然上がらない」


「少しで良いと言っているだろう」


「少しとかそういうのじゃなくて、何も上がらない」


「は?」


 これは遠い道のりになりそうだ。

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