2年生編 第15話
こいつは本当に口だけのクソ人間だったわ。
「ふざけるのなら余は帰るぞ」
「ふざけてないわよ!」
は〜、ふざけてないのかよ、ふざけていたのなら良かったのだが、ふざけてないのならもうこいつに出来ることはないぞ。
「って言うのは嘘なんだろ、本当はもっと出来るよな?」
「何回も言わせないで!私はふざけてないわよ!」
終わった、こいつは本当に天性の口だけのクソ人間だった。
「あのな、これが出来なくて友達が欲しいとか、わがままが過ぎるぞ。せめてありがとうを言えるようになれ」
勘弁してくれよ、今余は5歳児と話しているのか?
「は?何で私がありがとうって言わなくちゃいけないのよ」
「さっきと話が違うだろ!感謝の言葉なんか簡単に言えるって言っていただろ!」
「私のペンを拾えたんだから逆に感謝して欲しいわ」
おまえのペンなんかに何の価値があると言うのだ。
もう出来ないことはやらせても仕方ない、次のステップにいこう。
「もう良い、次は謝罪の言葉だ」
「私のこと舐めすぎでしょ」
「もう黙れ」
こいつの言うことなんか信じるか。
「おまえが歩いている時に机にぶつかってしまって教科書が落ちました、お前はどうする?」
「何?さっさと拾いなさいよ。私が悪いみたいなるじゃないの」
「お前が悪いんだよ、バーカ!てめぇがさっさと拾え!」
口だけのクソ人間の真骨頂だな。
友達が出来るどころか今後生きていけないぞ。
「そんなに言わなくても良いじゃない」
「これでも抑えている方だからな、これが余じゃなかったらぶん殴られていたぞ。余で良かったな」
「そんなに酷いんだ…」
自覚がないのがこいつに救いがない。
「もう正直に言うとお前に友達なんか出来るはずがない」
「ちょっと待ちなさいよ!まだ決めるには早いわよ!」
「感謝の言葉と謝罪の言葉が言えない奴なんかに友達出来るわけがないだろ!」
「そんなに感謝と謝罪が重要なことなの?」
「別にお前が何でも出来る奴だったら2人は出来るかもしれないが、お前は何も出来ないだろ!」
何でも出来て感謝と謝罪も出来る奴はもっと友達が出来るだろう。
だが、感謝と謝罪が出来ない奴は2人が限界だろうが、何も出来ない奴は友達が出来なくて当然だ。
「私だって出来ることくらいあるわよ」
もう良い、こいつは何も出来ないことくらい知っている。
「もう良い!友達作りの裏技を教えてやる」
「ほ、本当!」
「だが、条件がある」
「何よ」
「余がその裏技を教えるのはお前がちゃんと感謝と謝罪が出来たらの話だ」
「そんなこと良いからさっさと教えなさいよ」
「そんなことではない!ちゃんと重要なことだからな!」
「嫌よ、楽して友達が欲しいのよ」
「だからお前はダメなんだよ。感謝と謝罪を出来るまで何が何でも絶対に教えてやらないからな」
「ケチ!」
「ケチで結構だ。それに出来たら教えてやると言っているだろう」
これだと一年はかかるだろうな。
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