2年生編 第11話

 ぷぷっ


 こいつ今友達が出来なかったから泣いたって言っていなかったか?


 こいつそんなしょうもないことで泣いていたのか?


 あんなプライドが高い奴の泣いている理由が友達が出来ないって、面白すぎるだろ!


「友達が出来なかったから泣いていたのか?」


「……うん」


 ははははは!


 こいつマジか、こいつのことバカにしていたが、またバカに出来る。


「へぇ〜友達が欲しかったのか〜」


 今余の顔はきっとニヤニヤしているのだろうなぁ〜


「うっさい!」


 おー怒ってる怒ってる。


 プライドだけは一丁前に高いからな。


「なぜそんなに友達が欲しいのだ?」


 友達などいても邪魔なだけなのにな。


「欲しいでしょ。普通に」


「別に他のクラスにいるだろ?」


「…いないわよ」


「まぁだが、この学校にはいるだろ?」


「…いないわよ」


「それでも、あれだろ?他の学校にはいるだろ?」


「…いないわよ」


「あー、あれだ、小学生か中学生の頃にはいただろ?」


「…いないわよ!私は人生で一度も友達が出来たことがないのよ!」


「あー」


 こいつ寂しい奴だったのかぁ。


 だが、こいつの態度を見ていると当然の結果っちゃ当然の結果だよな。


 誰がこいつの友達になりたいと思うのだ。


「まぁ、いないだろうな」


「何でなのよ!」


「せの性格のせいだろ!」


 わざわざ言わすなよな、あまり当たり前のことを余に言わすなよ。


「私の性格のどこがダメなのよ!」


「プライド高い、見栄っ張り、嘘つき、うざい、愛嬌がない、自己主張がうざい」


 おお、こんな簡単にスラスラ言えるとはな。


「ちょっと言い過ぎよ!それにうざいが多いわよ!」


「事実だから仕方ないだろ」


「うっ、それでもちょっと言い過ぎよ」


「はぁ?まだまだたくさんあるぞ」


「私とあんたって会って日が浅いよね?」


「お前の性格なんか誰だって、会ってすぐに分か

る」


 余じゃない奴が会ってもすぐにこいつの性格は分かる。


「そんなに悪い?」


「悪い」


「即答しなくてもいいじゃない」


「悪い、嘘をつけなくてな」


「まぁいいわ、そんなことよりあんたをタダで帰すわけにはいかないわ」


 何だよ急に怖いな。


「何だよ、余はもう帰るぞ」


「私が泣いているところを見てあんたを生かしておけないわ」


「何をするのだ?」


「私に友達を作るのを手伝いなさい」


「はい、さよなら」


 余は金髪の言葉を聞いた瞬間、帰る準備をする。


「待ちなさい」


 金髪は余の前に立ちはだかる。


「そこをどけ」


「どかない。あんたが手伝うって言うまでどかないわよ」


「だったら無理やり行くからな」


「今日がダメでも明日また行くから」


 なんかまた同じような展開が起こりそうだな。


「友達など作るものではなく、できているものなのだ」


「あんたのそういうところが生意気なのよ!」


「生意気って…」


 何だよ生意気って、しかも急に怒り始めたし。


「あんたに友達がいるのが納得いかないのよ!あんたと私なんかほとんど一緒なのに!」


「一緒にするな」


「一緒よ!一緒!あんたと私のあの喋り方と人を見下すあの態度、なのに何で私には友達が出来ないのよ!」


 もしかして、こいつが余に勝負を挑んできた理由の生意気って、私には友達いないのに宇野は友達がいるのが生意気ってことなのだろう。


「だからお前は余に勝負を挑んできたのか」


「それもあるけど、あんたに勝ったら私にも友達が出来ると思ってたのよ」


「出来るわけがないだろ!」


 だからこいつ余に勝った次の日からソワソワしていたのか。


「それに余はあいつらを友達とは思ってない」


 余がそう言うと金髪は口をパクパクし始めた。


 何だ?鯉のマネでもしているのか?


「信じられない!あんたなんか大っ嫌い!」


「嫌いで構わないからそこをどけ」


「いや、私に手伝うまでずっと付きまとうから」


「勘弁してくれよ…」


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