2年生編 第9話

 あれから金髪は余に絡むことは無くなったのだが、妙にソワソワしているんだよな。


 こいつの席が後ろだから分かるのだが、ずっと窓見たり、立ってはちょっと歩いたり、それですぐ座ったり、分かりやすく咳払いしたりと、かなりうざい。


 こいつの行動を一つ気になったら全部気になってしまって気が散ってしまう。


 例えるとしたらテストをしていたら他人の鉛筆のカリカリッという音を気にしてしまったらずっと気になってしまって、さらに他の音も耳に入ってきてしまって、テストに集中出来なくなってしまうようなものだ。


 …いや、違うな。


 もっと例えが上手くなりたいものだ。


 そんなことよりだ、とにかく金髪の奴がうざくてたまらないのだ。


「ゔゔん」


 ほら、また後ろの席で金髪が咳払いをしやがった。


 もうこれでずっと余はイライラしているのだ、今日で何回目なのだ!


「お前最近ずっとうるさいぞ!」


 余は後ろに向き、金髪に注意をしてやる。


「は?別にうるさくしてないわよ」


「余は知っているのだぞ、最近お前ずっと何かにソワソワしているだろ!」


「べ、別にソワソワなんかしてないわよ」


「しているだろ!そのせいでずっと余は気になって寝れないだろ!」


「寝なかった良いんじゃない?」


「余はお前と違って忙しいのだ」


「はぁ〜?こっちだって忙しいわよ!あんたの方が暇でしょ」


「余はバイトで疲れているのだ」


 まぁ実際はオーナーとずっと話していただけだけどな。


「わ、私だって…、私だって…」


 いや、何でも良いから出せよ。


「とりあえず、うるさいから大人しくしておけ」


「何であんたなんかに命令されなきゃいけないのよ!私はあんたに勝負勝ったのよ」


 こいつ…マジか。


「何をそんなたった一回ぽっちで威張っているのだ、お前自分が何回負けたのか知っているのか?」


「はいはい、敗者の言葉なんか耳に入りませーん」


 金髪は耳を塞いで、聞こえませんアピールをする。


「敗者はお前だろ!お前の人生負けてばかりだろ」


「何で私の人生を知っているのよ」


 いや、合ってるんかーい。


「そもそも





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ーーーーー


ーーー


ーー




 あー今でもイライラする。


「どうしたポヨ〜」


「学校でイラつく奴がいたのだ」


「それは災難だったポヨね〜」


「まぁ良い、今日のゲームは何をするのだ?」


「もうそろそろ2人でやるゲームは飽きてきたポヨ〜」


 飽きるの早いな。


「そうポヨ!お互いが分身を出して、4人用のゲームで遊ぶポヨ〜」


「それは良いな」


 余はマナを集中させて分身を出す。


「宇野くんの分身って珍しいポヨね〜」


「ん?どうしてだ?」


「分身って普通自分の鏡みたいな存在なのに、宇野くんの分身って大人っぽいポヨ〜」


「それは余が子供っぽいて言っているのか?」


 余は妖精を鷲掴みにする。


「あ〜ごめんポヨ〜!冗談ポヨ〜!」


「分かったのなら良い。さっさと始めるぞ」


「分かったポヨ〜」



 ***



 そんなことがあり、徹夜でゲームをやってしまったせいで眠たくて仕方なく、ずっと寝てしまった。


 もう放課後になり、教室には誰もいなかった。


 いや、あそこで余が勝っていればすぐ終わっていたのだがな。


 さて、帰るか。


「ぐすっ」


 席を立とうとしたら後ろから鼻をすする音がした。


 まだ金髪は帰っていなかったようだ。


「ぐすっ、ぐずっ」


 こいつ泣いているのか?

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