2年生編 第8話
「て、おい!違うだろ!」
金髪の成長物語ではないのだ。
「余はお前の成長を手伝いに来たのではないのだ」
「え?違うの?」
「違うに決まっているだろ!お前が勝負を挑んできたからその勝負をしていた最中だぞ」
「そうわよ!忘れていたわ!何あんた私を手伝っているのよ」
「お前があまりにも下手くそだからだ。お前が上手かったらこんなことにはならなかったのだ」
「全然下手くそじゃないわよ!」
「何回も言っているが、お前の得意なやつで勝負してやるって言っているんだぞ!もっとまともなやつで勝負を挑んでこいよ」
こいつのここが意味が分からない、いつになったらこいつの得意なやつで勝負できるのだ。
もしかしてこいつは苦手なやつから余に勝負を仕掛けにきているのか?
これまでのテニスと野球が得意な競技だったら余は引くぞ。
「だから得意なやつであんたに勝負を挑んでいるでるわよ!」
「それがダメなんだよ!」
え?本当にこいつはふざけなしでこの程度で余に勝負を挑んできているのか?
というか勝負って何だよ!それをなぜ余が受けなくてはならないのだ。
「あんたはいい加減私に負けなさいよ!」
「あんな下手くそに負けれるわけがないだろ!あんなに負けたら余の一生の恥だ!」
「そんなわけないわよ!」
「いや、本当だから」
「あ、そんなになんだ…」
当たり前だろ、こいつは全ての能力は5歳児くらいだが、見た目だけが成長したような奴だかな。
「お前の本当に得意なものは何なのだ?」
こいつには得意なやつなどあるとは思えないがな。
「もちろんたくさんあるわよ」
もうこいつの言葉は全部嘘にしか聞こえない。
「一応聞いておくがお前は何が得意なのだ?」
「球技全般、料理、ゲーム、歌、ダンス、絵、他にも色々あるわ」
本当に口だけは一丁前だな。
「分かった、お前の得意なやつで余に勝てるやつを探していくぞ」
〜卓球〜
「一球も当たってないではないか、次」
〜サッカー〜
「おい、馬鹿!手を使ったらダメなことくらい分かっておけ、次」
〜バスケ〜
「それはダブルドリブルだ!リングにすら届いてないではないか、次」
〜バドミントン〜
「それはテニスラケットだ!お前それでどうやってバドミントンをする気だ!お前にスポーツは無理
だ、次」
〜料理〜
「見たこともない調味料を入れようとするな!あと、全部みじん切りにするな、次」
〜歌〜
「シンプルに下手、次」
〜ダンス〜
「体力も筋力もないし、柔軟性も低いし、リズム感もないし、難しい振り付けばかりやりたがるし、さっさとくたばれ、次」
〜絵〜
「もしかしたらこれが上手いのかもしれないなぁ、いや、下手だ、次」
***
「お前は一体何が出来るというのだ!」
「今までのは準備運動よ、私が本当に得意なのはババ抜きなのよ」
ババ抜きって、完全に運ゲーではないか。
「まぁ良い、勝負だ」
ーーーーーーーーーー
ーーーーーーー
ーーーー
ーー
ー
最後の一枚になった。
余がババじゃない方を引けば勝ちだが、もうこれは運だから適当に引くとするか。
余が引こうとカードに手を伸ばす。
ハァハァハァ
違う方にカードに手を伸ばす。
パァー!
逆の方に手を伸ばす。
ハァハァハァ
また逆の方に手を伸ばす。
パァー!
あ、もうこいつはダメだ。
こいつは一生余には勝てないな、もう面倒くさいから負けてやるとするか。
パァー!としている方のカードを引く。
案の定ババで、次は金髪がカードを引く番だが、余はシャッフルをせずにそのままカードを差し出す。
「え、いいの?」
「早く引け」
流石にこれは金髪をバカにしすぎたか?これだったら金髪のプライドが許すはずがないか。
こいつはプライドだけは一丁前にあるからまたこいつの得意なやつを探さないといけないのか。
そして、金髪はカードを引いた。
「やったー!勝ったー!初めて勝ったー!宇野章大に勝ったー!」
あ…、それで良いんだ。
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