第112話

 何とか高宮千沙からも逃げ切ることが出来た。


 怖かったなぁ、本当にあいつらは宇野のセンサーが鋭いからな、少しのミスも許されない。


 桜井莉緒と高宮千沙は何とか乗り切れたが、まだ九重菫が残っている。


 九重菫はこの二人と違って賢い人間だから今まで通り隠し通せれるか不安だ。


 いつもの態度であいつが賢いことを忘れてしまいそうになってしまうのだが、あの時(第33話)唯一あの場で余以外で冷静な奴だったからな。


 あいつは余以外ではあのような賢いことが出来る女だから、あいつには極力会いたくはない。


 怖いなぁ、というかなぜあいつらは宇野センサーが鋭いことが基準なのかが意味が分からない。


 いや、宇野センサーって何だよ!何だよその気持ち悪いセンサーは!


 せっかく無人島サバイバル生活を満喫しようと思っていたのだが、宇野センサーを潜り抜け!無人島サバイバル生活with魔法少女!になってしまったではないか。


 あと敬語がキツすぎる、気を抜いてしまうといつものになってしまう。


 もう一生使わないものだと思っていたのだが、まさか魔法少女どもに使うとはな。


 なぜ余があいつらを敬わないといけないのだ!あいつらが余を敬えよな。


 あいつらは基本余を舐めているからな、なぜこんなにも怖そうな余を舐められるのかが意味が分からん。


 いや、違うな。


 余の周りの奴らも余を舐めているな、いつから余はこんなにも舐められてしまったのだ…。


 余が余を見たら絶対にビビってしまうがな。


 なぜなら余は開花された才能、磨き抜かれたセンス、圧倒的カリスマ性、これを兼ね備えているのだから。


 自分で言っておいてなんだが、凄すぎるだろ。


 やはり、これで余を舐める奴が異常なのだ。


 余が凄すぎて逆にそういった態度をとっているのかもしれないな、そう思うと大したこと無いな。


 余が最強!余は最高!余は天才!余は王!




 


 はぁ〜


 

 ***


 いま余はとてつもないピンチが訪れている。


「これは大丈夫かな?これは大丈夫。これも大丈夫」


 コソコソしながら島の中を探索していたら九重菫が山菜を採っていた。


 まだ余は九重菫には見つかっていない。


 そこまでは良いのだが、あいつの採っている山菜の中の一つに食べられないのが混ざっていた。


 流石は九重菫なだけあって知識はあるのだが、あれだけは食べれることが出来ない。


 これは言った方が良いのだろうか?


 余的には別にあいつらが腹を下そうがどこかでくたばろうが余には全く関係ない。


 だが、今後のことを考えるとしたら、もしかしたら今ここで言ってやる方が良いかもしれない。


 いや、余は魔法少女の敵だ!助けてやる義理がない。


 今回は悪いが余は関わらないぞ。


 余は踵を返して余は関わらないことを誓う。


「そこで何をしているんですか?」


 ビクッ


 帰ろうとしていたら九重菫が何と余の近くにいた。


 いや、話しかけるなよ!


「別に特に何もしていませんよ」


 余はかなり驚いたがすぐに笑顔をに切り替えて九重菫に笑って見せる。


 まぁ仮面をつけているからそこまで意味はないがな。


「本当ですか?」


「本当ですよ」


 何を疑っているのだ、頼むから何も無く終わってくれよ。

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