第111話
高宮千沙を引き上げる。
「大丈夫ですか?」
「宇野…」
ダメだこいつ、気が確かではない。
今の余は宇野では無く、ナイトメアだからな。
「大丈夫ですか?僕は宇野ではないですよ」
余は気が確かではない高宮千沙に呼びかける。
「ん?」
お!少しずつ良くなってきているな。
「キャッ!ナイトメア!?」
やっと余をナイトメアと認識出来たようだ。
高宮千沙は余をナイトメアと認識したら急に余から離れていった。
「大丈夫そうですね、良かったです」
「あんたが私を助けてくれたの?」
「そうですね」
ここで嘘をついても仕方ないからな。
「そっか…、一応、ありがとう」
高宮千沙は敵に礼をするのが嫌なのがすごく伝わってくる。
「いえ、気にしないでください」
「何、その丁寧な言葉」
高宮千沙は余のこの言葉遣いに疑問を感じる。
「元々はこっちが本当の言葉遣いなんですよ」
余だってお前らにこんな言葉遣いをするのは嫌なんだからな。
「変なの」
こいつは、何も変なところなどないだろ、こいつは本当にズバズバ言うな。
「そうですよね、急だったら変ですよね」
ガツンと言ってやりたいところだが、今はナイトメアだから控えておこう。
にしても、こいつらに気持ち悪い敬語を使うのは
本当に気持ち悪い。
ナイトメアではなかったらしばいてやったのに。
「ねぇ、変なこと聞いても良い?」
ん?変なこと?
「宇野って知ってる?」
ギクッッッッ!!
「い、いえ、知りませんが」
え?え、え?え?も、も、も、もしかしてバレたのか?
いや、あいつはまだ気づいてはいないはずだ。
「何でそんな動揺してるの?もしかして知ってるの?」
動揺するな、こいつらはなぜか宇野のセンサーが鋭いからしくじるなよ。
「いえ、あのピンクの方も宇野とおっしゃっていたのでびっくりしただけです」
ど、どうだ?
「ピンクも言ってたんだ!やっぱりどこか雰囲気が似てるんだよ」
雰囲気が似てるんんだ、せっかく顔を隠しているのに雰囲気が似てるんだったら隠しようがない。
「宇野っていう人もこんな言葉遣いなんですか?」
「全然、全く、多分そんな言葉知らないと思う」
こいつ、余がいないからって好き勝手言いやがって、目の前にいるんだからな。
「なのに似ているんですか?」
「似てる」
「そんなにですか?」
「そんなに」
余的には完全に別人を装えていたつもりなのだが、魔法少女どもには通用しないようだ。
「ちょっとだけ言葉を荒くしてみて」
「なぜですか?」
「ちょっと宇野に会いたい」
なんだそれ…。
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