第110話

 危なかったぁ。


 あともう少しでバレるところだったぁ、もう少しで全てが終わるところだったぁ。


 こんなの心臓がいくつあっても足りないぞ。


 今回は桜井莉緒に出会ったからいけなかったんだ、次からは会わないように心掛けよう。


 もう切り替えよう!せっかくの無人島なのだ!普段やらないことをやっていこうでは無いか。


 まずは木と大きな葉を集めて拠点の屋根を作っていこう!


 雨が降ったら体が冷えて命の危険にも繋がってしまうからな。


 あと、日差しも意外と厄介だからな。


 そもそもここは雨が降ったりするのだろうか、ここは地球ではないから本当に分からない。


 だが、なぜか漂流物があるんだよな、ますます意味が分からない。


 もしかしてあの余たちを飛ばしたあのデカブツが望んだ無人島なのかもしれないな。


 だとしたらそいつはサバイバルがしたかったのかもしれないな。


 サバイバルなんか命がなくなる可能性もあるのになぜやりたいと思ったのだろうか、それだけ一人になりたかったのだろう。


 だが、実際にこの無人島に来てみたら嫌になるだろうな、魔法少女どもは変身しているから何とか乗り切れるだろうが、普通の人間だったらすぐに死んでしまうだろう。


 余?余はこの変身を解いたとしても、何年でも生き延びることが出来るがな。


 自画自賛はここまでにしておき、早速木と大きな葉を集めてくるか。


 集めるにあたって一番大事なことは魔法少女どもに会わないことだ。


 桜井莉緒に会って分かった、あいつらは余を宇野だと気づく才能があるようだ。


 余は顔を隠せば何とかなるものだと思っていたが、口調や身長や匂いでもあいつらは余を宇野だと疑ってくる。


 え、あいつらは怖くない?


 こんなちょっとの情報で余を疑うとか、こいつら宇野のこと知りすぎだろ、まぁ宇野は余なんだがな。


 ***


 集め終わったぞ!


 絶対に途中で魔法少女の誰かと出会ってしまうのかと思っていたが、奇跡的に会わずに済んだ。


 じゃあ早速余なりの屋根を作っていこう。


 ここで大事になっていくのがなんとなくだが骨組みだと思っている。


 これがしっかりとしていれば丈夫な屋根が出来ると思う。


 ………。




 出来た!


 初めてにしては中々の物が出来たぞ!


 あとは葉を覆い被せて、……完成!

 

 これは今住んでいる余の家に使っても普通に違和感ないぞ。


 これがあるだけで一気に家の感じが出てきた。


 いや〜リラックスしてしまうなぁ、本当はまだやることがあるのだがな。


 


 よし!行こう!魚を獲りに行きに!


 やっぱりこれだよなぁ、無人島のサバイバルと言ったら、魚を捕まえることだよな!


 あのデカブツでは無いが、余もサバイバルに憧れていたんだ。


 余はテレビを結構観るからな、テレビは無人島の企画を結構やるから一回くらいはやってみたくはあったのだ。


 で、やっぱり無人島のサバイバルと言えば魚を獲ることだよな。


 これが無かったら無人島サバイバルとは言えない。


 魚をいっぱい獲るぞー!


 ***


 魚いっぱい獲ったぞー!


 いやいや、こんな上手くいくとはな、やはり余は何でも出来るんだな。




「誰か…あっ…ぷはぁ…助け…誰か」


 帰ろうとしていたら高宮千沙らしき奴が海で溺れかけていた。


 そしてまた余の悪い癖の考えるより先に体が勝手に動いていた。


 余は海に飛び込み高宮千沙のところまで泳いで行く。


 余は高宮千沙を抱きかかえる。


「安心してください、もう大丈夫です」


「宇野…、宇野…、ありがとう」


 だから今の余は宇野では無いと言っているだろ。

 

 

 

 

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